2012 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞の多分化能と免疫寛容を有効利用する再生基礎研究
Project/Area Number |
22300185
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鳥橋 茂子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90112961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 仁 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80173243)
川部 勤 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20378219)
石田 和人 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10303653)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 骨格筋 / 移植 / 分化誘導 / ES細胞 / iPS細胞 / 筋再生 / 機能回復 |
Research Abstract |
1. 移植用の間葉系幹細胞の純度の向上について検討した。我々が新しく確立したES細胞由来の間葉系幹細胞が、継代可能である事を確認したので、移植前に継代を繰り返して数を増やすと共に純度を向上させることができるようになった。僅かに混入する未分化な細胞は、培養皿への接着が間葉系幹細胞に比べてやや弱いので、この違いを利用して未分化細胞を除去できるようになった。その結果、移植用に純度の高い間葉系幹細胞をより多く使用でき、移植実験の効率化をもたらした。また奇形腫形成リスクを減らした。 2. 他のES細胞種、iPS細胞への適用を検証した。これまでは1種類のマウスES細胞を使用して研究を行ってきたので、その成果が他のES細胞や多能性幹細胞に適用できる確証はなかった。そこで、新たなES細胞株とiPS細胞(マウス)を用いて間葉系幹細胞の作成と、その分化能の検定を行った。 その結果、いずれもこれまで使用してきたマウスのES細胞株と差異のない結果を得た。 従って我々の報告した間葉系幹細胞の作成法およびその細胞の示した性質は一般に適用できることが示された。以上の結果は論文に付記した。 3. 間葉系幹細胞の移植と炎症の関係についての解析を行った。ES細胞由来の間葉系幹細胞を移植すると、正常な組織には生着しない。移植先の組織が損傷あるいは炎症を惹起している場合に限って生着し、増殖する。そこで組織損傷後の時間と移植細胞の生着率の関係を継時的に調べた。その結果、炎症がピークに達する損傷24-48時間後に最も生着率、分化率が高かった。従って、これまで間葉系幹細胞は移植により、炎症を減弱させるという報告は多くなされてきたが、逆に間葉系幹細胞の生着には炎症状態が必要であることが示唆された。 4. 学会発表と論文投稿について。上記の成果は国際幹細胞学会(10th ISSCR)に発表し、現在英文誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した実験をほぼ遂行し、結果をまとめることができた。しかし、当初の予想に反して、間葉系幹細胞の移植免疫能については我々の作成したES細胞由来の間葉系幹細胞からは大きな効果が見られないことが分かった。また、想定外の結果として、炎症が移植細胞の生着に必要とされることが分かり、少し研究の方向を転換させることにした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は研究の最終年度に当たる。 従ってこれまでの研究の成果を発表まで持っていくことを最重要視する。すでに、移植に関する論文は投稿中である。従って炎症と移植細胞の足場形成に的を絞って新たな研究成果をまとめたいと考えている。
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