2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22300227
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森田 展彰 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10251068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 陽二 筑波大学, 医学医療系, 教授 (30164221)
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Keywords | ドメスティック・バイオレンス / 加害者更生プログラム / デートDV / 認知行動療法 / 有効性 / 予防教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1.配偶者間暴力(Domestic Violence,以下DV)の予防・介入を行うマニュアル化された認知行動療法プログラムを開発し、2.有効性の検証を行うことである。 1.ドメスティックバイオレンス介入・予防プログラムのマニュアルの作成 (1)DV加害者群用プログラムマニュアルの作成:申請者は、海外のDV加害者プログラム提供団体での調査をもとに、DV加害者プログラムを策定し、これを実際に試行錯誤して改良を重ねてきた。平成22年度に1つのマニュアルとしてまとめたが、平成23年度はこれを実際に用いながらさらに改訂をして、多くの人がもちいることができるように使用における注意点をまとめたガイドを作成した。 (2)リスク群や学生用マニュアルの作成:DVを生じるリスクをもつ依存症事例や学生のデートDVに対するマニュアルを作成し、試行をはじめている。 2.プログラムの有効性検証 DV加害者に対するプログラムは、今年度までに4クール(1クール12セッション)を実施してその前後での心理的変化を測定した結果、プログラムにより自らの暴力の責任を自覚できる効果をもつことが示された。また、認知行動モデルに基づいて自分自身が持つ暴力に結びつく考え方について内省できるようになる変化を認めた。一方、実際のコミュニケーションスキルの習得については時間をかける必要があるという結果であった。質問紙以外に、面接による質的な分析も今年から加え、変化のプロセスを分析している。それによれば当初には自分の加害行為への否認しがちだが、パートナーの視点から見られるようなると変化が始まる場合が多いことが確認された。ただしそうした反省が落ち込みや反発に留まる場合と、さらにこれを超えて相手を尊重するスキルを身につけられる場合があり、後者に到達するには複数のクールロールプレイや生活の中での応用が必要であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加害者プログラムのマニュアル作成と実施は継続的に行っており、サンプル数を増やせており、その有効性の研究は期限内にまとめることができる見通しである。依存症などのリスク群についてのマニュアルもできているが、いくつの事例にを行っている。デートDVについてのマニュアルも作成しており、これから施行して有効性を検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
学校におけるデートDVへのプログラムの施行は、いくつかの学校などの協力を得られることが確定しており、十分な知見が得られる見込みである。DVが定着する前の事例に対する予防効果の検証ができることが意義が大きいと考えられる。依存症事例については、依存症自体の治療との兼ね合いがあるため、サンプル数は多くとれない可能性があるが、1事例研究や質的な検討などの手法も加えて、有効性検討することを考えている。当初予定していなかったが、プログラムそのものの作成以上に、それを多くの援助者に利用してもらい、有効性をかんじてもらうことが社会的には重要であると考えるようになり、プログラムに関する援助者への研修を行い、援助者(あるいは教育者)がDVやデートDVに関する理解や対応スキルを向上できるという意味での有用性についても、検討したいと考えている。
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