Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金久 博昭 鹿屋体育大学, 体育学部, 教授 (50161188)
吉武 康栄 鹿屋体育大学, 体育学部, 講師 (70318822)
森 司朗 鹿屋体育大学, 体育学部, 教授 (80200369)
中本 浩揮 鹿屋体育大学, 体育学部, 講師 (10423732)
高井 洋平 鹿屋体育大学, スポーツトレーニング教育研究センター, 助教 (20574205)
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Research Abstract |
慢性的な運動不足,アンバランスなエネルギー摂取などによる生活習慣病の発症増加や体力の低下はもちろんのこと,近年,生活様式の変容にともない,認知機能低下の危険性が増している.特に,発達障害や認知症の顕著な増加などから,脳機能改善を目的とした方策の確立が急務のこととなっている.このような社会情勢を顧み,本研究は,認知・運動制御・学習機能に対する筋力(レジスタンス)トレーニングの効果を明らかにすることを目的とした.本年度は認知機能に焦点をあて,認知課題のパフォーマンスおよび課題中の脳活動に与えるレジスタンスエクササイズの一過性の影響について調査した.方法として,被検者に,レジスタンスエクササイズ(RE条件)および安静状態(R条件)の前後に認知課題を課した.認知課題は実行機能の測定に有効なフランカー課題を用い,課題遂行中の脳波を記録した.その結果,反応時間はRE条件で短縮し,R条件では増加した.この課題では,注意の定位や刺激の弁別,あるいは反応の選択や抑制,運動の構築など様々な認知処理を必要とする.したがって,反応時間の短縮は,これらいずれかの処理効率促進を意味する.そこで,RE条件による促進が,どのプロセスで生じているのかを明らかにするために,刺激と反応を基準に脳波を加算平均した事象関連電位を分析した.その結果,知覚処理に関連する200ms後の陰性成分(N200)の振幅が,反応時間が遅延したR条件で減少し,反応時間が短縮したRE条件では維持された.さらに,反応処理に関連する偏側性準備電位(LRP)の出現潜時は,RE条件でのみ短縮した.これらの結果から,レジスタンスエクササイズの一過性の効果として,反応関連の処理効率が高められることが示唆された.また,本研究の結果は,従来の有酸素運動による認知機能改善効果とは異なることから,運動様式の違いは,脳に異なる適応を生じさせると考えられた
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