Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金久 博昭 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (50161188)
吉武 康栄 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 准教授 (70318822)
森 司朗 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 教授 (80200369)
中本 浩揮 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 講師 (10423732)
高井 洋平 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 助教 (20574205)
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Research Abstract |
近年,高齢者人口の増加が基盤であり,生活様式の急激な変容が大きな要因となった認知機能の低下が増している科学的エビデンスが数多く報告されている.特に,発達障害や認知症の罹患数の顕著な増加から,脳機能改善を目的とした方策の確立が急務のこととなっている.このような社会情勢を顧み,本研究は,高齢者を対象とした認知機能低下に対するカウンターアクトとしての方策として自重を利用した筋力(レジスタンス)トレーニングの有用性について科学的に明らかとし,またその認知機能改善の規定因子を明らかにすることを目的とした. 実験1.対象者は39名の男性高齢者であった.まず,筋力と認知機能との関係を明らかにするために,対象者に対して,等尺性の膝伸展,足関節底屈,肘屈曲動作のそれぞれの最大筋力測定,および,ミニメンタルステート検査(MMSE)を実施した.その結果,体重あたりの膝伸展筋力(トルク)は,MMSE得点と有意に正の相関関係が認められた(r=579,P<0.01). 実験2.実験1の対象者のうち27名を対象に,貯筋運動トレーニングを3ヶ月実施した.トレーニングは,自宅でも気軽に継続して行えるよう自重負荷を用いた筋力トレーニングメニューで構成し,スクワットやカーフレイズなど下肢を対象とした.貯筋運動トレーニングによって,膝伸展筋力および足関節底屈筋力は有意に増加した(P<0.05).非常に興味深いことに,その増加の程度とMMSE得点の増加の間には有意な正の相関関係が認められた(r=0-422,P<0-05). 以上の結果より,膝伸展筋力は,認知機能を反映していることが示唆された/また,筋力トレーニングの実施によって認知機能は改善し,またその改善の程度は膝伸展筋力の増加に伴うことから,加齢にともなう認知機能の低下の改善を目的とするカウンターアクトの方策として,膝伸展筋力の増加をターゲットとした筋力トレーニングメニューを含めることが望ましいと言える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初申請した内容に対し,概ね計画通りに進んでいる.ただし,対象者の人数,幅がやや少ないことが反省点である.
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