2010 Fiscal Year Annual Research Report
身体活動・運動による大腸がん発症予防機序に関する研究
Project/Area Number |
22300241
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
田畑 泉 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20188402)
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Keywords | 運動 / 身体活動 / 大腸がん / 予防 |
Research Abstract |
大腸がんは、がんの初期段階である異常腺窩巣[aberrant crypt foci (ACF)]から腺腫となり、さらにがん腫に変化するという多段階発がん機構を経ることが知られている。本研究では、ラットを対象として、高強度・短時間・水泳トレーニングが「大腸がん」の初期段階であるACFの発生を予防しうるかについて検討を加えた。Fisher系雄性ラットに体重1kg当り20mgの1,2-Dimethylhydrazine (DMH)を1週間に1回を2回投与した後、ラットに高強度・短時間・水泳トレーニングを実施した。水泳トレーニングは体重の18%の錘を装着した水泳運動20秒を10秒間の休息を挟み8回実施するものであった。このトレーニングは血中乳酸濃度等からほぼ疲労困憊に至る強度である。コントロール群では、トレーニングを一切行わなかった。その結果、トレーニング群の大腸の全ACF数(122±47個)は安静コントロール群のACF数(47±22個)に比べて有意に少なかった(p<0.05)。この結果より、低強度の水泳トレーニングと同様に、高強度水泳トレーニングはDMHによって誘発されたACFの発現を抑制する可能性がある。これらの結果は、大腸がんの一次予防としての低強度及び高強度身体運動トレーニングの重要性を示唆しているものと考えられる。
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