2011 Fiscal Year Annual Research Report
中国における低炭素発展を支える風土適応型ライフスタイルの再生に関する調査研究
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22300247
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
近藤 加代子 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (70221984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 徹夫 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (40150502)
包清 博之 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (60161171)
井上 朝雄 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 助教 (70380714)
岡田 知子 西日本工業大学, デザイン学部, 教授 (30258503)
篠崎 真美 九州大学, 東アジア環境研究機構, 特任准教授 (80420595)
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Keywords | 低炭素 / 緑地 / 電気料金 / 住宅様式 |
Research Abstract |
山東省済南市都市住宅および近郊の寿光市農村住宅、重慶市都市住宅および農村住宅の訪問調査を実施した。 山東省済南市は日射量が多く、太陽熱温水器の普及率が高い。屋根に全戸用の太陽熱温水器をのせた中層住宅が多い。都市の中層住宅では、建物の南側に日射遮蔽のために木を植えるなどの工夫が見られた。訪問先の南側のベランダは、すべて改装されて外側に窓が設置されていた。 山東省農村部では、平屋建てから伝統的な四合院への増改築が進むとともに、四合院自体の改築もまた進行している。特徴的な改築は、中庭タイル化による樹木の一層、南側外廊下に窓を設置して室内化すること、伝統的な暖房のカンをやめて石炭ボイラーを設置すること、システムキッチンの導入である。居場所と生活行動についても変化が見られた。木陰などでトランプや雑談をして過ごす生活習慣が一般的であったが、居室の中で冷房を付けてTVを見て過ごす人々も増えてきている。電気料金および石炭使用量の分析から、住宅の改築および生活習慣がエネルギー消費に関係しているのではないかという分析が得られた。 重慶市は雲霧の発生が多く太陽熱温水器の普及は山東省ほど高くない。都市部では屋上とベランダの緑化が多く行われている。ベランダの改築も多いが、新しい住宅では日射遮蔽のためにベランダの改造をしないこともある。訪問調査はベランダ改築をせずかつ自然通風を心がけている住宅では電気使用量が顕著に低かった。 農村部では、伝統的な住宅は窓がない土壁の家であるが、窓付きのコンクリートまたはブロックの家に改築が進んでいる。住宅の作りとライフスタイルによって、冷房機器の使用時間に大きな差が見られた。家の改築と家電の普及にも地域的な特徴が見られた。 以上の訪問調査結果は学会発表された。次年度に予定している大規模な社会調査によって検証が必要であろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中国済南市における都市住宅調査等において、中国と日本との関係の悪化を背景にして、協力を事前に約束していた大学関係者および都市住民から十分な協力が得られなかった。そのため必要なデータの収集が不可能になったが、済南近郊の寿光市農村の調査は順調に実施できた。また予算の一部を繰り越し、調査地を南京都市部に変えて実施した。おおむね問題なく調査を行うことができた。各調査地で風土に適応して形成されたエネルギー消費の節約に寄与するライフスタイルを発見し、ライフスタイル要因について、実際にエネルギー消費分析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査は、順調に実施されており、ライフスタイルの仮説構築に十分なデータは収集されてきている。今後は、繰り越し地域の現地調査を実施し、その結果を踏まえて、仮説の実証のための大規模社会調査を実施する。
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