2011 Fiscal Year Annual Research Report
発達ステージにおける中間周波電磁界曝露による生体影響評価
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22300255
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
欅田 尚樹 国立保健医療科学院, 生活環境研究部, 部長 (90178020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛山 明 国立保健医療科学院, 生活環境研究部, 上席主任研究官 (60291118)
TIN・TIN Win・shwe 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, フェロー (00391128)
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Keywords | 電磁界 / 中間周波 / IHクッキング / マウス / 生体影響 / 突然変異 / 免疫系 / 中枢神経系 |
Research Abstract |
IHクッキングとして電磁誘導を利用した調理器具が普及してきている。IH調理器の利用においては、年齢層の幅広い人の利用、中でも妊娠女性が機器と面した場所での利用などが有り心配されている。WHOの環境保健クライテリアにおいても、研究の推進がうたわれている。申請者らは、低濃度化学物質をマウスに曝露した際の神経・免疫・内分泌ネットワークへの影響評価を幅広く進めてきた経験を生かし、IH調理器に相当する中間周波電磁界の曝露装置を作成し、生体影響評価について系統的に実施した。 本研究においては、IH調理器に使用される周波数20kHz前後の変動磁界の曝露を行った。全身曝露装置にはMerritt type coilを使用し1辺約30cm四方の空間において均一な磁界曝露ができる環境を設けた曝露装置を初年度に準備した。ICNIPR国際非電離放射線防護委員会によるガイドライン値の数十倍から百倍のレベルである1~4mTまでの曝露が可能である。磁界発生においては、同時に発熱などが想定されたので、工学系の専門家の設計のもとでこれらをコントロールし交絡要因を排除し曝露した。 成獣C57BLマウスを用いて21kHz,3.8mT磁界を1日1時間、2週間にわたって全身曝露実験を実施した結果、中枢神経系への影響評価として、神経の成長・分化にかかわる神経栄養因子(NGF)、海馬における記憶に関連する遺伝子群であるNMDA受容体NR1,NR2AのmRNAの発現が、磁場曝露以外は同様な処理を行ったSham曝露群とは有意でないものの、無処置コントロールマウスより有意に、増加した。また一週間のリカバリー期間をおくとコントロールレベルに復した。 磁界曝露が、何らかの中枢神経系へのリバーシブルな刺激作用を有する可能性が示唆されたが、今後詳細な検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の実験において、変異原性試験においては、特定遺伝子座のPig-A遺伝子の突然変異を検出する系を確立し,陽性コントロールとして電離放射線誘発の突然変異は検出されたが、電磁界曝露では変異の増加は認めなかった。これらの結果も含め、ほぼ順調に進展したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
1~2年度は、曝露系・アッセイ系の確立を行い成獣マウスを用いた曝露実験を実施した。最終年度は、全身曝露実験の繰り返しに加え、妊娠マウス曝露により生まれてきた仔マウスに対する影響評価を検討していく予定である。
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