2010 Fiscal Year Annual Research Report
新たな低分子メイラード反応色素を手がかりに食品褐変反応の功罪を問い直す
Project/Area Number |
22300257
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
村田 容常 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (60210051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺沢 なお子 金沢大学, 人間社会研究域, 教授 (00227513)
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Keywords | メイラード反応 / 褐変 / 黄色色素 / ジピロロン / キシロース / リジン |
Research Abstract |
我々はメイラード反応の条件(pHやイオン強度)をコントロールすることで、色の主要成分が低分子化合物となることを見出した。それらの化合物を単離・同定し、数種の新規色素化合物群(furpipate類ならびにジピロロン類)を発見している。本種々の条件を変えることで新規化合物の関連物質がさらに見出される可能性が高い。平成22年度においては、ジピロロン類の形成条件(キシロールとリジンをpH5.0酢酸緩衝液中で加熱)のアミノ酸の種類を変えHPLC上新たなピークを見出し、これら化合物を単離、構造決定した。具体的には、リジン、キシロース系にさらにもう一種のアミノ酸を添加し、加熱した。一般に、メイラード反応研究では1種類の糖と1種類のアミノ酸を反応モデル系として扱っている場合が多いが、実際の食品は複数の糖やアミノ酸が混在している。これまでに、複数のアミノ酸が同時に存在する際の影響を検討している研究はほとんどない。その結果、新たな類縁化合物がHPLC上に検出された。そのピークは、ジピロロン類と同様のUV可視吸収スペクトルを示す化合物であった。加熱溶液からODSカラムクロマトグラフィーならびに分取HPLCを用い、9種の黄色色素(Ala,Arg,Asp,Glu,Ile,Leu,Phe,Ser,Valを添加した系)を単離した。いずれも水溶性の化合物であり、ジピロロン類縁体であった。NMRおよびMS分析により、各化合物をdilysyl-DPL Aのpyrrole側のリジン側鎖が別のアミノ酸側鎖に置換された新たな類縁体として同定した。
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