2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22300258
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
植野 洋志 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (30241160)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 減塩食品 / 塩味増強剤 / GABA / 塩味 / 対比効果 / 神経伝達物質 / 味蕾 / 味覚 |
Research Abstract |
近年,生活習慣病を予防することがヒトが健康で長生きするためには必須であるという理解が進んでいる.生活習慣病の最も注意すべきところは高血圧とされる.また,患者を国費でささえているのが,腎臓疾患をもつ透析患者である.これらに共通することは,減塩であろう.本研究の基本は,減塩食品の開発につなげようとするもので,基礎的な部分と応用部分からなりたつ.我々は,味を感じる味蕾細胞にグルタミン酸を代謝するグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)のアイソフォームであるGAD67の発現を見出し,それが酸味と塩味受容体を要するIII型味蕾細胞であることを報告してきた.この酵素の働きによりγ-アミノ酪酸(GABA)が産生されること,GABAはクロライドイオンチャンネル(GABAAとGABAC)のリガンドであり,これらのチャンネルタンパク質はいづれも味蕾に発現することを見出した.これにより,食塩の成分であるクロライドイオンが塩味に関与し,その味覚の増幅にはGAD活性つまりGABAの産生量が関与することをヒトの官能試験により見出し,報告している.さらに,GAD活性に影響を与える食材由来の因子を香辛料や天然物に求めたところ,多くの天然物抽出物が酵素活性に多様な影響を与え,酵素活性を活性化させる因子は,塩味を増強する傾向があることを見出した.これにより,塩味増強剤のスクリーニングシステムを構築でき,数100種におよぶ天然物のスクリーニングを行い,塩味増強効果を示す化合物を見出しており,現在,単離精製を行っている.また,塩味増強効果のアッセイ法を確立したが,そのためには安定なGAD67タンパク質の供給が必須であり,組換え体GAD67の大腸菌や酵母での発現系のさらなる改良を試みた.研究成果は,これまで分子レベルで理解されていなかった,調理学の分野でしられている対比効果を説明できるものでもある.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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