2012 Fiscal Year Annual Research Report
高度な実践力を身につけた科学教師の育成ー長期の教育実習とその効果に関する研究ー
Project/Area Number |
22300267
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
古屋 光一 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (10374753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 誠 北海道大学, 学内共同利用施設等, 教授 (60322856)
倉元 直樹 東北大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (60236172)
西郡 大 佐賀大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30542328)
榊 良康 北海道教育大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30524102)
阿部 修 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (30202659)
浅川 哲弥 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (60113651)
蛇穴 治夫 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (90175399)
関口 朋彦 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40435508)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 科学教育 / 理科教員養成 / 教育実習 / 長期教育実習 / 地域連携 / Webを用いた教育実習記録 / PCK / 教育実習の評価 |
Research Abstract |
本年は研究3年目であった。2年目に実施した長期教育実習では,このプログラムを履修した大学生は,実践力を身につけたことが,実感できた。実際,研究分担者,教育実習校の校長および指導教諭,そして本人のいずれもが感じていたところである。これは,本研究の4本の基本的柱,すなわち目指す教師像の明確化,具体的プログラムの開発および実施,地域との連携の推進,評価方法のデザインがうまく機能しているためである。しかしながら,実践力の成長をエビデンスとして捉えることに成功していなかった。そのため,この1年間は,長期教育実習を実施している際に得られた多様なデータをもとに,実践力の成長を捉える方法を検討した。その方法は授業観察中の長期の教育実習生(実験群)の発話プロトコルと,授業観察後の評価レポートを,このプログラムを履修しなかった学生(統制群)と比較するものである。この方法によって得られたデータから,このプログラムを履修した学生(実験群)と,履修しなかった学生(統制群)の相違点が明らかになった。共通点は両群とも,授業中の教師の指導についての注目である。発話量・記録量とその質的な内容で大きな違いはなかった。相違点は,授業中の教師の指導と子どもがそれにどのように反応したか,および子どもの行動についてである。この点については,このプログラムを履修した学生が質・量ともに,圧倒的に統制群より多かった。これは先行研究にみられる初任者とベテランとの相違点と同様の傾向である。この成果を学会において報告して,その効果について公表すると同時に,共有することを目指した。そして,実際に南京で開かれた国際学会において発表することができ,一定の評価を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示したように,実践力の成長を捉える方法,すなわち評価方法のデザインを先行研究に基づいて開発した。また,この内容を国際学会で発表(審査有り)することができたからである。研究分担者あるいは地域との連携も良好である。今後は,ここで開発した手法をより一般化できる方法として定式化するため,実験参加者を増やしてこの評価方法のデザインの妥当性を検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
・ 実践力の成長を捉える方法を確立するために,大学の講義(授業)と教育実習の両方を通して大学生がどのように,実践的指導力を身につけるかを検討する。そのために,教科教育法(ここでは,おもに授業の方法を学ぶ内容を設定)とその後履修する教育実習という一連のプログラムの前後でどのように授業を分析するスキルが向上したかを測定する。基本的な方法は大学生に授業を観察しながら,自由に気がついたこと,疑問に思ったこと,素晴らしいと感じた点などを話してもらい,これを質的データとして(発話プロトコル等)収集する。授業および実習を経た後,同じように授業を観察して発話プロトコルなどを収集して,前後の比較を行う。同時に学生自身に自分自身の前後の変化を分析してもらう(メタ認知)。 ・ こうした一連の方法によって,実践的指導力の一部を捉え,その実態を分析する。 ・ 海外の学会に出向き,実践力を捉える方法についての情報収集およびこれに関する研究内容を発表する。 ・ この方法で得られた研究内容を国内外の学会等で発表する,あるいは発表の準備をする。 ・ 最後に,4年間の研究成果をまとめて成果報告書を作成する。
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