2011 Fiscal Year Annual Research Report
生物多様性保全に向けての環境教育プログラムの作成-外来生物問題の理解のために-
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22300276
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Natural History |
Principal Investigator |
高桑 正敏 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 学芸員 (80179431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝山 輝男 神奈川県立生命の星・地球博物館, 企画情報部, 企画普及課長 (20214356)
広谷 浩子 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (10205099)
瀬能 宏 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 専門研究員 (80202141)
苅部 治紀 神奈川県立生命の星・地球博物館, 企画情報部, 主任学芸員 (50261194)
佐藤 武宏 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (30280796)
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Keywords | 外来生物問題 / データベース / 教育プログラム開発 / 環境教育 |
Research Abstract |
国外からの外来生物リストのうち、昆虫について追加・更新し(合計421種)、国外・国内外来昆虫に関する文献についてデータベース化を行う(現在825件)とともに、それらすべての文献またはコピーを「外来生物文庫」に著者名のアルファベット順に収納した。さらに、昆虫に関する事例リストからは、国外を原産地とするものが多いことはもちろん、国内に由来する外来生物がきわめて多いこと、しかも国内外来生物か在来生物(自然分布種)かの判断が、しばしばきわめてむずかしい点が浮き彫りとなった。このため、外来生物の定義を改めて作成し、また分散(偶産;迷チョウ・迷トンボ)についても定義し、外来生物か否かの判別を容易にすることを試みた。さらに、これら定義がアマチュア研究者を含めた昆虫界に理解してもらえるかどうかをいくつかの異なった学会や研究会で講演して確認するとともに、昆虫界に対して外来種問題の普及啓発を試みた。 現地調査等で得られた知見には次のようなものがある.(2例のみ示す)。 1.伊豆諸島にはさまざまな国内外来生物が侵入している。とくに両生類は前年度に引き続き5種の定着を確認し、新たに新島でモリアオガエルが確認された。八丈島や三宅島など人口も多く、物資の流通の盛んな島では外来種が多い一方、人口も少なく物資の流通も少ない御蔵島では、クリやキリなど人が持ち込 2.石川県小松市で2008年に定着が確認されたシタベニハゴロモ(セミ目)は外来種シンジュをホストにしていたが、センダンでの発生を確認した。また、成虫が集中しているアカメガシワも複数見かけたので、ホスト拡大が懸念される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内外来生物が予想以上に非常に多く、資料・情報収集がまだ十分でないため。また、国内外来生物か分散個体・個体群とみなすべきかの判断がしばしばかなり難しく、それら定義を含めての検討に時間を取られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.国外・国内外来生物のリストの完成度を高め、関連文献の収集をはかること。ただし、植物については種数も多く、また図鑑なども出版されているので、本研究では主要な文献目録の作成にとどめる。 2.外来生物に関する文献またはコピーを利用・閲覧できる「外来生物文庫」の充実に努める。 3.外来生物事例のデータベース化を進めるとともに、それぞれの事例のキーワード化を行う。 4.自然史と生物多様性を念頭に置いて、外来生物とその問題についての一般化著述とデータ整理を行う。 5.外来生物問題に関する教育プログラムの開発を行う。
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Research Products
(23 results)