2012 Fiscal Year Annual Research Report
先端的ICTを活用した重症心身障害児(者)等の認知発達支援に関する研究
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22300280
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
小林 巌 東京学芸大学, 教育実践研究支援センター, 准教授 (90305300)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 教育工学 / 重症心身障害 / 情報システム / ユータインタフェース |
Research Abstract |
本研究は、重症心身障害児(者)(以下、重症児(者)と示す)等の反応を把握し、環境の側から人間の側に働きかけて認知発達支援を行うための情報システムの設計、構築、および活用を目的としている。平成24年度は研究3年目であり、システムの試用を行ってシステムデザインについて検討するとともに、臨床ケースでの適用に関する検討を実施した。 システムの試用においては、臨床ケースにおける教育的働きかけに平成22年度および平成23年度に検討したシステムのプロトタイプを活用した。チャイム音をS1、呼名をS2とするS1-S2パラダイムにおける期待反応の生起等の確認を行った。その結果、平成23年度に実施したシステムの動作検証と同様に、必要な機能の実現を確認することができた。 一方、本研究の対象児(者)等の教育場面でよく用いられる刺激の呈示として、複数の具体物やカード等を呈示して選択するといった方法もある。教育現場ではICTを用いた選択刺激の呈示も見られているが、特にこの数年、iPadに代表されるタブレット型コンピュータの活用が顕著になってきている。刺激が具体物やカードであれば、対象児(者)の全体像と一緒に動画記録を取ることが比較的容易であるが、タブレット型コンピュータを活用する場合は画面の状況の記録や確認に工夫が必要であるため、これに配慮したシステム改善の検討を行った。今後は、このような機能を含むシステムの実装および試用が課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はシステムのプロトタイプを臨床場面で試用することが目的であったが、予定通り実施することができ、平成25年度に予定されている研究に引き続き取り組むことができる状況であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
プロトタイプをより多くの臨床例に活用し、システムの検討をさらに進めていくことが必要である。また、本研究課題について当初計画していた平成22年頃に比べて教育現場のICT活用には新しい展開が見られており、中でもiPadなどのタブレット型コンピュータの活用が注目を集めてきている。このような機器は本研究の対象児童生徒に働きかけるための情報環境としても有効であると考えられることから、彼らの認知発達支援を目的としたタブレット型コンピュータの活用についても検討を進めていきたい。
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