2011 Fiscal Year Annual Research Report
映像メディアツール開発を通した観察研究方法論の構築
Project/Area Number |
22300282
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
刑部 育子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (20306450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 真志 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (40336417)
植村 朋弘 多摩美術大学, 造形表現学部, 准教授 (50328027)
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Keywords | 観察 / メディア開発 / 映像 / カンファレンス / 授業研究 / 教育実践 |
Research Abstract |
本研究は映像メディアツールの開発を通した観察研究方法論の構築を目指すことから、平成23年度は前年度まで行ってきた観察記録ツール(CAVScene)の改善要求事項の抽出と高機能化の実装に加え、インターフェイスを刷新した。また、観察ツールのフィールドでの実証を行い、観察の方法論に重要な基盤となる要素を抽出し、分析した。 1.観察記録ツール(CAVScene)の改善要求事項の抽出と高機能化の実装(戸田・刑部) ツールの機能拡張、機能改良を実施した。観察現場にて映像記録と再利用が進む一方で、映像ハンドリング機能が貧弱であったことから、記録映像を効率的に取り扱うことが可能な機能を付与した。さらに、CAVsceneの開発過程における新旧のフォーマットデータも読み込み可能とする修正を施すことで、過去の記録の再利用が可能となり、ユーザの利便性を向上させた。 2.観察記録ツール(CAVScene)のフィールドでの実証(刑部) 観察ツールのフィールドでの実証を行い、映像的思考と言語的思考のハイブリッド性の効果について、結果の一部を国内外で発表した。観察方法論の基盤として重要なのは、映像と言語利用の機能をツールに併存させることではなく、本ツールが映像的思考と言語的思考の行き来を即時に可能にするよう観察を支援しており、このことが観察後のカンファレンスにおける議論をも促進させることが明らかになった。 3.観察ツール(CAVScene)iPad版への新規開発(植村・刑部) 観察ツールCAVSceneは製品化され一般利用も可能になったが、実機がメーカーにより販売終了となり社会的普及の障害になった。そこで、本年度新たにCAVscene-iPad版の開発に着手し、全面的に刷新したインターフェイスデザイン構想とCAVscene-iPad版への開発に伴う映像取得の技術開発を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ユーザの利用体験に基づいた要望を忠実に実現することでシステムの更新を続けており、システムの実装と改善は十分達成できている。また、出願済みのCAVSceneに関係する特許は本年度審査請求手続きを終えており、順調に進展しているといえる。さらにフィールドでの実用化、複数のフィールドでの利用の調査も行い、観察方法論の構築に向けて着実に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は当初の計画通り順調に進行しており、計画の変更は不要である。ただし、本研究で製品化されたCAVSceneの実装PCが廃盤になり、社会普及に支障が生じる可能性が出たことから、新たにiPad版への開発に着手し刷新することとした。iPadが有するディバイス操作の特性が、従来の実装PC以上にCAVSceneにとってより適合すること、iPadの普及率の高さもあり、さらなる開発と成果が期待できる。平成23年度中にこの問題の解決に見通しがつき新たな開発に着手できたことから、平成24年度も当初の計画通りに研究を推進できる予定である。
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