2011 Fiscal Year Annual Research Report
セイフティネットとしての職能人財の育成と不公式・非公式学習の認知に関する研究
Project/Area Number |
22300289
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
西之園 晴夫 京都教育大学, その他部局等, 名誉教授 (90027673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 久美子 放送大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90392290)
鈴木 克明 熊本大学, 社会文化科学研究所, 教授 (90206467)
西岡 正子 佛教大学, 教育学部, 教授 (40208145)
松本 哲 神戸大学, 経済経営研究所, 助教 (60388238)
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Keywords | 組織シンボリズム / 協働学習 / セイフティネット / 職業能力の開発 / 学習プラットフォーム |
Research Abstract |
工業社会から情報社会,さらに知識基盤社会への移行に伴って,倒産,リストラなど労働環境は急変しているが,そのためのセイフティネットを構築する必要がある.これまでの指導者を前提とする従来の職能育成システムでは多様化する学習ニーズに対応することができない.そこで不公式学習(non-formal learning)によって自律的学習で職業能力を高める学習システムの開発を中規模で実施する計画で進めたが,職能レベルを維持することと持続可能な収入が得られるように中小企業の技術者を対象として,そこに失業者などを参加させることによってセイフティネットとして機能を果たすことを目指しているが,中小企業からの参加がきわめて厳しい状況である.LMSシステムの開発はクラウドコンピュータの機能を利用して一定の成果はえられたが,学習支援の実用化については学習サポータへの謝金の支出が研究費の大部分を占める結果となったので,支援関係者の拡大も制約されている.中規模での実施を予定していたが,結果的には「CMOSアナログ回路I」「CMOSアナログ回路II」「電気回路基礎」の3科目であり,受講者数も200名を目指していたが約3分の1にとどまった.しかし,自律学習を実現するために分散同期型協働学習の形態によって,複数の場所での自律学習を実現するため学習ガイドブック開発に成功したし,学習プラットフォームという概念で討議を活発化することに成功した.この場合,理論的枠組みとして「知識はシンボルの集合体として記述されている」という仮説を全体として「学習はシンボルの意味を読み解くことである」という作業仮説を形成することができた.分散同期型協働学習によって自律的学習を多人数で実現できることは確認できたが,多人数にするために企業からの協力と参加を確保することが今後の課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
職業能力を開発するための方法論としては,「知識はシンボルの集合体として記述されている」と仮定のもとに,「学習をそのシンボルの意味を読み解くことである」と仮定して学習プラットフォームという概念と分散同期型協働学習によって実現可能であることが確認されているが,持続可能性を考えたときに中小企業の技術者の参加を得ることがきわめて困難であることが判明している.2012年の最終年度はこの問題に対する見通しが得られるようにすることが課題である.
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題として取り組んでいるのは,従来の教師あるいは指導者が主導する教育訓練方式では,教育コストを削減することが困難であるので,自律的な学習を実現することによって人件費の削減を目指しているために,従来とはまったく異なるアプローチを試みている.そのためには企業主,技術者,雇用関係,行政関係者の人々を説得する必要がある.そこで本研究の目指している目的をさらにアピールして協力者を増やすために啓蒙用の冊子ならびにPRの方法を再考することが重要な課題である.
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Research Products
(43 results)