Research Abstract |
本研究の目的は,Low-Level Interaction(LLI)情報を用いた知的メンタリングシステム実現のための技術的基盤を構築することにある.具体的には広義の学習支援システムにおいて学習者の理解状態,心理状態の両側面を推定する機能を実装し,適切な自動メンタリングを実現するために必要なモデルと技術基盤を開発する.本研究の中心的課題は,(1)LLI情報からの心理状態を推定するためのモデルの構築,(2)学習履歴とLLI情報との融合方式の開発,そして,(3)適切かつ適応的なメンタリング情報の生成手法の確立,の3点にある.また,本研究で開発するシステムにおいては「学習者は特別な器具を装着しない」ことも重要なコンセプトである.本研究は,実験的手法による実験フェーズとその結果を実装する実装フェーズに分けて研究を推進する.特に,平成22年度は(1)「推定モデル構築」に関する研究を重点的に行った.具体的には,PCに標準的に装備されている入力装置(マウス,キーボード,Webカメラ)から取得可能なLLI情報と心理状態の評価結果(印象評価)とを比較することにより心理状態推定モデルの構築を試みた(ニューラルネットワークを用いている).さらに,「学習者は特別な器具を装着しない」という開発コンセプトを実現するための基礎的な実験を行った.具体的にはEMR(視線追跡装置)を用いて,学習者の視線の動きと学習課題に対する確信度の関係を実験的に検討した.その結果,一般的な関係を導くまでには至っていないが,いくつかのルールとして命題化することができた.さらに,IR-Tagを用いた行動センシング情報の利用も実験的に検討した.併せて,様々な学習様態(問題解決,作問学習など),学習対象における学習者モデル(特に誤りのモデル),教授戦略モデルについても検討を行った.
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