2011 Fiscal Year Annual Research Report
メタバースを利用した日本文化に関する「状況学習」の支援環境に関する総合的研究
Project/Area Number |
22300296
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
稲葉 光行 立命館大学, 政策科学部, 教授 (80309096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細井 浩一 立命館大学, 映像学部, 教授 (00268145)
THAWONMAS Ruck 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (50320122)
中村 彰憲 立命館大学, 映像学部, 教授 (70367134)
上村 雅之 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (20388086)
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Keywords | 状況学習 / 協調学習 / メタバース / e-ラーニング / 日本文化 |
Research Abstract |
本研究では、ネット上の3次元仮想空間であるメタバースや仮想的な身体を持つアバターの特性を生かし、「状況学習」というアプローチによって、日本の言語や文化を効率良く学ぶための環境構築に取り組んできた。これまでの活動では、メタバース構築環境として最も普及しているSecond Life(以下、SL)上に、日本の有形・無形文化を学ぶためのコンテンツを構築した。 当該年度の主な活動は以下の通りである。 1.メタバースを用いた教育・学習支援に取り組んでいる国内外の事例に関する情報収集を行った。また、アルバータ大学、ハワイ大学、シンガポールポリテクニック、和歌山大学などで、SLを用いた学習支援や異文化理解に取り組む研究者と意見交換を行った。その結果、これらの機関同士で、学習環境・コンテンツの共有していくことの重要性について共通認識を得た。 2.SL上の学習環境を用いて、海外からの訪問研究者・留学生と本学学生(日本人)が対話しながら日本語・日本文化を学ぶ学習実験を行った。実験の結果、メタバースを媒介としたネットゲーム的なインタラクションが、「楽しみながら文化を学ぶ」ことを支援する環境として大きな可能性を持つことが示唆された。 3.上記の実験のフィードバックを元に、SL上の学習環境の拡張に取り組んだ。特に、挨拶、祈願、占いといった、文章では説明が困難な伝統習慣を学ぶためのアバター動作を新たに実装した。 4.昨年度に引き続き、多様な展示空間における訪問者の行動履歴のモデリングに関する研究を行った。 5.仮想環境とのインタラクションにおける新たなモダリティの提供手段として、ジェスチャーや音声認識によってデジタルコンテンツ操作を可能とするデバイス(Microsoft社KINECT)を用いた研究を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本文化学習支援環境として、有形文化(例:着物)に関する仮想展示空間、無形文化(例:能楽)を体験するための舞台と身体動作、伝統的な習慣(例:神社の参拝)を体験するための建物群、などをメタバース内に実装した。また、外国人留学生・研究者を対象とした学習実験を行い、その結果、メタバースが持つ没入性やゲーム性が文化学習に有効であることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の具体的な活動は次の通りである。1.国内外の教育研究機関がメタバース上で展開する、言語や文化に関する教育・学習支援の事例についての情報収集と分析を継続する。2.海外の教育研究機関の協力を得て、メタバースを介した日本文化学習に関するニーズ調査を行い、学習用コンテンツや学習環境の拡充に取り組む。3.海外の教育研究機関と共同で、メタバースを介した日本文化学習実験を行う。4.メタバースを介した学習・認知活動、学習者同士の対話、アバター動作の履歴などを総合的に分析し、メタバースにおける状況学習環境および学習支援モデルの課題を整理する。5.SLに限らず、ジェスチャー・音声による対話デバイス、伝統的な遊具、ビデオゲームなど、多様な環境や道具を媒介とした状況学習の可能性に関する検討・分析を継続する。
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Research Products
(31 results)