2011 Fiscal Year Annual Research Report
p53転写因子複合体によるクロマチン機能調節とiPSリプログラム制御機構の解明
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22300325
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田中 知明 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50447299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
龍野 一郎 東邦大学, 医療センター佐倉病院, 教授 (80282490)
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Keywords | 転写因子 / 癌抑制遺伝子 / iPS / クロマチン / エピジェネティクス |
Research Abstract |
山中4因子と呼ばれる特定の転写因子の体細胞への導入により、多系統の細胞に分化する「多能性」と幹細胞を再び作り出す「自己複製能」を誘導できるようになったのである。しかしながら、Oct3/4・Sox2・Klf-4・c-Mycなど多能性の獲得・維持に必須の転写因子が、どのような核内シグナルを通じて、どのような分子メカニズムで作用するかは十分に解明されてない。一方、がん研究分野では「がん幹細胞仮説」が提唱され、その実在や分子病態が明らかにされつつある中、治療抵抗性や再発機序との関係が示され、新たな治療標的として期待されている。そこで、がん幹細胞治療標的を目指して、転写因子p53と核初期化に重要な転写因子(Oct3/4・Sox2・KLF4)に焦点を当て、分子間架橋技術開発やゲノムワイドの連動解析を通じて、がん幹細胞とiPS/ES細胞における共通のエピゲノム分子基盤探索を行い、癌のエピジェネティック治療創薬における新規標的分子候補の発見と効率的で革新的な疾患iPS技術や新たな治療ターゲットの創薬基盤の開発につなげる。実際に、トランスクリプトーム解析から癌特異的なnon-codingRNAや、iPS特異的なlinc RNAだけでなく、幹細胞維持に重要なGLS2を同定することに成功した。それらの機能解析から、抗腫瘍効果や転移抑制能を明らかにした。さらに、ES/iPS細胞を用いたp53クロマチン複合体に含まれる機能的分子群の同定とその機能解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トランスクリプトーム解析において、共同研究を推進することで、ゲノムワイドでの網羅的遺伝子解析が順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
新規に見出した遺伝子や分子が、実際のがん幹細胞やiPS/ES細胞における幹細胞機能制御能に関わっているかを明らかにする。加えて、臨床サンプルを用いて実際の癌組織において有用なシーズ候補となりうるのかを評価する。クロマチン複合体が予想以上に複雑であり、その機能的分子の同定に問題がある。その対応として、分子群を絞り込んだ解析や、あらたな機能的スクリーニングを加える予定である。
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