2010 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素産生遺伝子NOX1による発がんの制御機構の研究
Project/Area Number |
22300328
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鎌田 徹 信州大学, 医学部, 教授 (40056304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 喜文 信州大学, 医学部, 准教授 (50201893)
古田 秀一 信州大学, 医学部, 助教 (80126705)
加藤 真良 信州大学, 医学部, 助教 (70402104)
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Keywords | Nox / 癌 / 活性酸素 / Wnt / Ras / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、活性酸素(ROS)産生遺伝子Noxlによるヒト発癌の制御機構を解明し、発癌の防御と治療の確立に役立てようとするところにある。我々は、過去10年に渡って、Noxlの産生するROSが発癌過程にいかなる機能的役割を果たすかを研究してきた。その結果、Ras発癌の癌形質をNoxlは媒介し、大腸癌でNoxlが活性化していることを明らかにしてきた。本研究では上皮組織幹細胞の増殖と分化を調節し、その破綻が発癌をもたらすWntシグナル経路をNoxlが如何に制御するかを解明したい。初年度は、(1) NoxlによるWnt-β-cateninシグナル伝達機構の解明、(2)臨床検体におけるNoxlの発現を調べるためにNoxlモノクローナル抗体の開発を目指すことに集中した。項目(1)Noxlに由来するROSがレドックス蛋白nucleoredoxin(NRX)を酸化して、NRX-Dvlの相互作用を抑制する結果、Wnt-β-cateninシグナルを活性化することを生化学的手法、共焦点レーザー顕微鏡を用いて解明した。この際、NADPH oxidaseの調節因子RaclがNoxl活性を制御することも見出した。項目(2)Noxlのペプチドをマウスに免疫し、そのハイブリドーマの培養上清をELISAでスリーニングしたところ、約50クローンが陽性であったが、イムノブロッティングで、Nox1を認識できるものは得られていない。今後、免疫組織染色に適している抗体がっくられたかを検討する。さらに、マウス発癌モデルを用いたNoxlのin vivo機能解析は、現在、マウスの交配が進行中である。これが終わり次第、本実験に入る予定である。以上の結果から、Noxlを介したレドックスシグナルによるWnt経路の新しい制御機構が明らかとなり、大きな進展が見られた。Wntシグナルの異常が大腸癌を含む種々のヒト癌で重要な役割を果たすことが知られているので、この知見は、Noxlが癌治療の新しい分子標的となる可能性を示唆した。
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Research Products
(6 results)