2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞接着分子群の解析に基づく、がんの個性診断法の開発
Project/Area Number |
22300336
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 善則 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30182108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 彰彦 近畿大学, 医学部, 教授 (80273647)
桜井 美佳 東京大学, 医科学研究所, 助教 (80508359)
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Keywords | 細胞接着分子 / CADM1 / 肺がん / 腎細胞がん / 乳がん / ATL / 分子標的薬 / 増殖因子受容体 |
Research Abstract |
細胞接着分子群の解析に基づくがんの個性診断法の開発を目指した研究を行い、以下の結果を得た。 1.肺がん、膀胱がん、乳がん、ATLにおける細胞接着分子CADM1,CADM4の異常と、その意義の解析:手術摘出膀胱がん40例、乳がん67例の免疫組織染色の解析から、それぞれ約70%でCADM1、CADM4両者の発現欠如、異常を認めた。これらの異常は臨床病期の進行に伴って認められ、発現欠如例ではプロモーター領域のメチル化によると考えられた。正常腎では、CADM4とその結合タンパク質4.1Bは近位尿細管に、CADM1と4.1Nは遠位尿細管に発現することを示し、淡明細胞がんでは、CADM4の発現欠如が重要であることを見出した。一方、肺がんではCADM1とMETが共沈し、HGFによるMETシグナルの活性化をCADM1が抑制することを実験的に示した。これらの結果から、CADM1,CADM4の異常ががんの浸潤、転移に関わり、手術例の予後予測に関わる可能性が示された。また、CADM1の転写がレチノイン酸によって誘導されること、この転写活性化がSp1、Sp3を介して生じることを示した。 2.CADM1を標的とするATL、小細胞肺がん(SCLC)の診断、治療法の開発の基礎研究:CADM1がSCLCでは稀なスプライス・バリアントを発現し、SCLC特異的な診断マーカーとなる可能性を示した。またin vitroでは培養上清にはCADM1細胞外断片が検出されることを示した。また、上皮細胞で発現するCADM1バリアントが6か所のN型糖鎖修飾をうけることを確認した。
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Research Products
(10 results)