2011 Fiscal Year Annual Research Report
春季親潮珪藻ブルームにおける透明細胞外重合体粒子生産の特徴とその支配要因の解明
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22310002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 光次 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (40283452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 宏明 (独)水産総合研究センター, 東北区水産研究所, 生態系動態グルーブ長 (30371793)
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Keywords | 親潮 / 植物プランクトン / 春季ブルーム / 透明細胞外重合体粒子 / 珪藻 |
Research Abstract |
平成23年5月7日から5月13日の間、(独)海洋研究開発機構の学術研究船淡青丸を利用し、春季親潮珪藻ブルーム期の基礎生産特性と生物地球化学過程の動態に関する研究航海を、本研究代表者である鈴木が主席調査員として、実施した。この研究航海期間、珪藻ブルームが発生していた2つの調査観測点において、2日間以上滞在し、植物プランクトンの群集組成を調査するとともに、粒子態並びに溶存態有機物生産と透明細胞外重合体粒子(Transparent Exopolymer Particles。以後、TEP)生産の関係を評価した。その結果、ブルーム最盛期からブルーム終焉期にかけて、海水中のTEP濃度が有意に増加することが明かとなった.また,クロロフィルa濃度当たりの海水中のTEP濃度は、ブルーム終焉期において、顕著に増加した。この事から、栄養塩欠乏により植物ランクトンの光合成活性が低下したブルーム終焉期では、植物プランクトン1細胞当たりのTEP生産量が増加することが示唆された。海洋植物プランクトンが主に生産すると考えられているTEPは、海洋炭素循環における生物ポンプ効率を決める上で鍵となる「海水中の沈降粒子を凝集させるための接着剤」として注目されているが、本研究結果から春季親潮海域ではブルーム終焉期において、炭素循環に対するTEPの役割が大きくなることが考えられた。平成23年9月に開催された2011年度日本地球化学会第58回年会において、鈴木研究室の大学院生が「2010年春季親潮珪藻ブルーム期における透明細胞外重合体粒子(TEP)分布の特徴」に関する発表を行い、学生優秀口頭発表賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い、期待された研究成果が出てきていることから。
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Strategy for Future Research Activity |
平成22年度および平成23年度は春季親潮珪藻ブルーム期の海洋観測を主に実行したが、平成24年度はより詳細な透明細胞外重合体粒子生産過程を評価するために親潮産珪藻株を用いた室内培養実験をを実施する。
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Research Products
(6 results)