2011 Fiscal Year Annual Research Report
中国沿岸から日本海への物質輸送過程解明に向けた東シナ海・黄海表層流変動の理解
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22310009
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森本 昭彦 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 准教授 (80301323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝川 哲太郎 独立行政法人水産大学校, 海洋生産管理学科, 講師 (10371741)
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Keywords | 潮汐モデル / 衛星データ / 海洋観測 |
Research Abstract |
本研究の中で開発する潮汐・潮流同化モデルと、そのモデルの計算値により潮汐成分を補正した衛星海面高度データの精度検証のため、5月中旬から7月中旬に東シナ海陸棚上の2点に水位計と流速計を設置し観測を実施した。観測海域は底曳き網漁が盛んな海域なため、2010年度に購入した海底設置架台に測器を搭載し観測を実施した。設置時に機器の不具合で小さなトラブルがあり、さらに回収時に切り離し装置の不具合により1台は回収、もう1台は2012年度に回収することとなった。回収できた係留系については欠測のない水位、流速データを取得でき、設置点での8分潮の潮汐と潮流の調和定数を算出できた。 潮汐・潮流モデルに関しては、2010年度に構築した非同化モデルの改良を行い、験潮所データの同化実験を行った。大きな改良点としては、計算領域を2010年度より広くすることで東シナ海陸棚上への開境界の影響を減少させたことと、境界条件および各種パラメータを調整することにより韓国西岸の潮汐振幅が非常に大きい海域の再現性を向上できたことである。また、中国、韓国の験潮所データをモデルに同化したことで特に中国東岸の再現性を向上させることに成功した。 衛星高度計データ解析としては、現状最も精度がよいとされる数値モデル結果により潮汐補正を行い、この衛星高度計データと漂流ブイデータから東シナ海の平均流速場を計算し、さらにその平均流速場と衛星高度計データとを組み合わせ1995年から2007年までの月平均海面流速場データセットを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた東シナ海での2台の水位計、流速計の係留は成功したが機器のトラブルにより1台を回収できなく観測データ取得においては計画よりやや遅れている。しかし、潮汐潮流モデルの開発、衛星高度計データ解析は概ね予定通り実行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き潮汐・潮流同化モデルの開発を進め当初目的とした精度で潮汐を再現できるモデルにする。さらに、モデルに同化するデータの精度検証、観測データとの比較によりデータ同化手法の検討を行い、潮汐および潮流の再現精度を向上させる。 本研究で構築したモデルの出力を使い衛星高度計の潮汐補正を行い、東シナ海陸棚上の表層流変動、特に季節変動を明らかにする。 今年度回収できなかった海底設置式流速計を夏に予定されている航海で回収する。今回トラブルを起こした船上から信号を送るシステムの修理、動作確認を綿密に行い確実に機器を回収できるように準備を行う。
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Research Products
(7 results)