2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22310015
|
Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
内山 明博 気象庁気象研究所, 気候研究部, 室長 (50354460)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 明宏 気象庁気象研究所, 気候研究部, 主任研究官 (40278106)
中山 智喜 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教 (40377784)
|
Keywords | エアロゾル / ネフェロメーター / キャビティリングダウン分光 / 地球温暖化 |
Research Abstract |
本課題では、地球放射収支に影響を与えるエアロゾルの一次散乱特性の測定のため、角度分解型散乱係数計を開発し、既開発の全消散測定装置と合わせて新しい測定システムを構築する。 平成22年度に行った基礎実験に基づき作成した角度分解型散乱係数計(ポーラーネフェロメーター)を角度分解能を高めるために改造を行い、前方20度までを4度の角度分解能で、それ以外を10度の分解能で測定できるようにした。 その後、開発したポーラーネフェロメーターの性能を評価するために、粒径および屈折率が既知のポリスチレンラテックス標準粒子の測定を実施した。測定では、ネブライザーにより発生させた粒子を拡散ドライヤーで乾燥させたあと、静電分級器およびエアロゾル質量分級装置に導入し、単分散粒子を得た。得られた単分散粒子(直径:200,300,500,700,900nm)の散乱の角度依存性をポーラーネフェロメーターで、消散係数をキャビティリングダウン分光法で、粒子数密度を凝縮式粒子計数器で計測した。散乱の角度分布から得られた散乱係数を、キャビティリングダウン分光法により得られた消散係数および、粒子数密度と粒径からミー散乱理論により計算される散乱係数と比較した。その結果、キャビティリングダウン分光法により得られた消散係数は、理論計算とよく一致していたが、ポーラーネフェロメーターの散乱光を積分して得た散乱係数は、系統的に小さな値であった。このため、散乱光の角度分布を調べたところ、散乱光の角度分布が前方散乱の領域(散乱角30度以下)で、角度力ま小さくなるほど理論値に比べ小さくなっていることが分かった。今後、問題点を明らかにし、装置及び校正法の改良を行い、実大気での測定を可能にする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新たに追加した集光レンズ付きファイバーの性能にバラツキがあり、再調達に時間がかかったことと、非常に微弱な光を測るので、個々の検出器の感度調整に手間取ったこと、散乱光の検出領域が、サンプル空気より大きい可能性があり、校正方法を再検討する必要が生じたことのため、やや進捗が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ポリスチレンラテックス標準粒子を用いて行った実験結果を再検討し、問題点を明らかにする。校正のための測定を簡単にできるように装置の改造を行い、再度、標準粒子による実験を行った後、実大気での実証観測を行う。
|