2012 Fiscal Year Annual Research Report
微細藻類が生産する核内受容体活性化物質の水生動物への影響
Project/Area Number |
22310020
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
彼谷 邦光 筑波大学, 生命環境系, 教授 (40124341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 友春 独立行政法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 主任研究員 (10178808)
白石 不二雄 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, フェロー (30113476)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 7-Hydroxy retinoic acid / cis-trans isomerization / keto-enol tautomerism / teratogenic test / all-trans retinoic acid / zebrafish / cyanobacteria / photostability |
Research Abstract |
研究の目的:富栄養化した湖沼で大量発生する微細藻類が水生動物細胞のレチノイド系やステロイド系の核内受容体を活性化する物質(リガンド)を多量に生産していることを見出した。本研究では微細藻類の生産する核内受容体活性化物質の化学構造の解明とそれらの水生動物への影響を明らかにすることを目的とした。三年目である本年度は藍藻類の主要レチノイン酸が7-ヒドロキシレチノイン酸であり、4異性体の平衡関係にあることから、これらの異性体の同定と7-ヒドロキシレチノイン酸の光安定性の関係の解明およびレチノイン酸受容体(RAR) の本来の生体内リガンドであるトランスレチノイン酸(ATRA)は過剰曝露により、催奇形性があることが知られていることから、藍藻類の7-ヒドロキシレチノイン酸による水界生態系生物への催奇形性を調べる試験法の構築を行った。研究方法:7-ヒドロキシレチノイン酸の4異性体を逆相系カラムを用いた液クロで分離し、それぞれの異性体のλmaxと分子吸光係数から異性体の構造と平衡状態を推定した。毒性試験用は魚類の中で比較的受精から孵化までの時間の短いゼブラフィシュの魚類胚・仔魚期毒性試験法によるATRA曝露による催奇形性を検証した。結果:7-ヒドロキシレチノイン酸の4異性体はcis-transの異性体であり、異性化はC-7におけるketo-enol互変異性が関与しているものと推定された。光による分子の安定化は異性化による平衡によるものと推定された。本催奇形性試験法により、催奇形性を有するATRAは比較的低濃度である320ng/Lの6日間曝露観察でも外観異常(奇形)を引き起こすことから7-ヒドロキシレチノイン酸も同程度の濃度で生態系動物の奇形への影響が示唆された。7-ヒドロキシレチノイン酸の全合成についてはまだ完成していない。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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