2011 Fiscal Year Annual Research Report
HLCE評価による2050年温室効果ガス80%削減シナリオ分析に関する研究
Project/Area Number |
22310027
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
外岡 豊 埼玉大学, 経済学部, 教授 (00282418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 昭雄 熊本大学, 自然科学研究科(工学系), 特任教授 (90467978)
稲田 達夫 福岡大学, 工学部, 教授 (80580175)
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Keywords | 気候変動対策 / 温室効果ガス / 産業連関表 / ライフサイクルアセスメント / CO2排出量 / エネルギー消費量 |
Research Abstract |
研究目的 HLCE(Human Life Cycle Emission)というライフサイクル排出量評価指標で日本の温室効果ガス排出量を年間1人当・消費ベース誘発排出量として評価する手法を開発、その基礎データを整備し、様々な地域での様々な生活に伴う排出量の違いをHLCEで評価する。このHLCEを用いて低炭素都市や低炭素社会を定量評価できる。そこで日本社会の地域槽造、生活構造、生産構造、経済構造、エネルギー需給構造とそれらの変化経路を排出削減への社会変革計画としてシナリオ分析し、排出量変化に寄与する社会経済的な基礎要因の変化と、今後の期待される技術改善の下で、どうすれば2050年に80%以上の排出削減が実現できるのか、HLCEによる排出量削減シナリオ評価を行う。 H23年度研究実績 HLCEの要素となる各種エネルギー消費原単位、CO2排出係数について基礎情報を収集し、最新の数値群を整備した。例えば鉄鋼製品、セメント等の製品別、生産工程別エネルギー消費原単位,CO2排出係数と産業連関表による同数値群について比較解析し推奨される原単位の抽出設定を行った。土木系のLCA事例について文献研究し都市基盤施設の最新のLCA原単位データ探索を行った。またとくに林業と林産品のLCAについて実態例の調査をもとに新しい手法を開発中である。住宅と業務建物のエネルギー消費量とCO2排出量について推計手法の改良と年次更新を行い、とくに住宅については世帯類型別・市区町村別推計を新たに行った。これらを用いて特定地域のHLCEについて試算した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大震災の影響で夏ころまで平常の活動ができなかった。それにより情報収集作業が遅れた。また同時期、節電対策や震災後対応に関する急場の研究情報提供依頼があり、それにも予定外の時間を使った。国の統計データが簡略化されており、必要な基礎データが入手困難なため研究の質を悪化させている。
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Strategy for Future Research Activity |
並行して担当しているJSTプロジェクトの関係で林業に関する基礎情報が得られ(早稲田大学、名古屋大学他と共同研究)、木造住宅やバイオマス燃料等木質系素材、エネルギー消費に関して当初予定より詳しい分析結果を取り込むことが可能になった。震災後、あるいは世界経済危機を契機に社会システム全体を根本から考え直す機会が増え、別途申請した科研費萌芽研究でエネルギー需給や気候変動対策対象としての将来社会像そのものに関する考察検討の機会が与えられたこともあり、一種の社会LCAである本研究は社会システムそのもののLCAへと拡張進展のきざしも見えて来ている。また日本建築学会において2050年までの建築分野における気候変動対策のあり方について検討する委員会、小委員会、WGに参加しており、建築LCA小委員会でもLCA手法について検討しており、それら関連活動との連携も本研究の今後の推進に寄与するものと期待している。
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