2010 Fiscal Year Annual Research Report
太陽光発電技術を利用した多元的便益創出型国際協力モデルの構築
Project/Area Number |
22310030
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金子 慎治 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (00346529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤倉 良 法政大学, 人間環境学部, 教授 (10274482)
市橋 勝 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (10223108)
後藤 大策 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 准教授 (80432847)
小松 悟 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 助教 (80553560)
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Keywords | 太陽光発電 / 技術開発 / 国際協力 / 気候変動 / 援助政策 / 支払意志額 / 色素増感太陽電池 / バングラデシュ |
Research Abstract |
本年度はバングラデシュにおいて2種類の世帯調査を実施した。 最初の調査では、太陽光発電の需要や現在のグリッド発電に対する問題点を明らかにするために、農村部・都市部の両方において、頻発する停電を緩和するための便益調査を実施した。具体的には停電時間の短縮・停電回数の削減・1日前の告知という、電力供給改善策に対して、住民の追加的な支払意志を分析することを試みた。更に停電のタイミング(ピーク時間帯に削減するのか、全日を通じた削減)、改善季節(夏と冬)の違いによる住民の便益の違いを抽出した。同時に住民には現在停電時の対策(IPS、Rechargeable Torch、灯油ランプの利用)やそれら対策に必要となる支出額、世帯属性(世帯人数、収入)も尋ね、支払意志額との関係を明らかにできるようにした。 第2の調査は、色素増感太陽電池技術の技術開発によるバングラデシュでの将来市場分析(価格弾力性、所得弾力性、その他性能・機能などの要因)のために、バングラデシュ農村部にて太陽光発電機器を住民にレンタルさせるビジネスモデルを作成し、それに対する住民の需要の分析を目的とした。具体的には、Fee-for-serviceと呼ばれる、一定契約期間の間、太陽光発電による電力を得られる代わりに固定電気料金を支払うシナリオに対して、住民の購入意思を尋ねた。シナリオの中では、太陽光発電パネルの大きさや、契約期間の長短による住民の受け入れ度合いの差を分析することを試みた。本調査によるデータをもとに、バングラデシュにおける、色素増感太陽電池の早期市場の形成によって、コスト削減がどのように図れるか、更に日本国内での普及がどのように変化するかを展望する。
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