2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22310040
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉永 淳 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (70222396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 祐太郎 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (40238134)
小島 祥敬 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60305539)
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Keywords | 肛門性間距離 / 精液指標 / ピレスロイド / パラベン / フタル酸エステル / バイオマーカー |
Research Abstract |
化学物質による男性生殖器形成影響の新規指標として、新生児の肛門性器間距離(AGD)について検討した。AGDは肛門の中心から性器の上端(AGD1)あるいは下端(AGD2)までの距離であり、ノギスで測定し、単位をmmとする。AGD測定の再現性につき一人の測定者(泌尿器科医:研究分担者)が同じ対象児について繰り返し測定した際の、二つの測定値の相関は>0.93(n=57)であり、測定者内の測定誤差は相対値で4~5%と、十分信頼できるものであることを確認した。ただしその測定値は0あるいは5で終わるものが多く、digit preferenceが見られたが、ディジタル表示のノギスを使用することでこれを防げることを確認した。 この測定法により、日本人新生児596名につき、研究協力者の都内産婦人科においてAGD測定を行った。AGD1について男児(n=295)の平均±SD=45.1±7.2mm、女児(n=301)は33.9±5.4mm、AGD2について男児20.4±5.2mm、女児17.2±4.0mmと、どちらも男児のほうが有意に長い結果であった。AGDは胎児期のテストステロンレベルを反映するという動物実験の結果と矛盾しないものであり、男性ホルモンのかく乱をする可能性のある化学物質の影響評価に適した指標であることが示唆された。 日本人が日常的に暴露する可能性のある男性ホルモンかく乱化学物質候補として、ピレスロイド系殺虫剤、パラベンなどを想定し、尿中代謝産物測定に基づく曝露評価方法の基礎検討を行ない、LCMSMSによって信頼性高い測定が可能であることを確認した。また、都内研究協力者の産婦人科不妊外来において、精液検査対象となった42名の男性から採尿し、精液パラメータと尿中ピレスロイド代謝産物との関連を予備的に調べた。その結果、尿中代謝産物と精子運動率に負の関連が示唆された。
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