Research Abstract |
申請者らは,落差2m未満の極低落差の水力エネルギーから高効率で発電できる超小型エコ水車の開発を目的とする.極低落差を利用する水車の研究において,市場ニーズに見合う水車効率,耐久性および経済性を実現することが課題の一つである.本研究では水車タービン材料表面の高機能化に着目した.流体機械の基本概念に,化学系ものづくりのアプローチを融合することにより,水車効率,耐久性,耐蝕性を向上することを目指している.市場ニーズを満たすエコ水車発電システムを実現するために,大きく分けて(1)発電効率向上研究と,(2)ランナーの耐久性向上研究に取組む.本年度は,機能性表面を導入する前のランナー形状についての最適化と,エコ水車ランナー用機能性表面の作製に取組んだ.ランナー形状については,ラボタイプの超小型水力タービンとして,開放型貫流ランナーの高効率化を実施した.エコ水車発電システムは農業用水路への適用を想定しており,例えば落差工や急流工など,その導入場所によってランナーに流入する水流の方向や位置が変化する.そのため,ブレードの曲率,取付角度などについて,想定される流況に合わせたランナー仕様を追求した.その結果,開放型貫流ランナーは流量変化に対して緩やかな特性変化を示し,10倍程度の流量変化においても50~60%の水車効率を維持できることを明らかにした.エコ水車ランナー用機能性表面の作製については,二段階ドライプロセスにて,超はっ水基板を低コストで大量生産できる方法を確立した.
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