2010 Fiscal Year Annual Research Report
バイオボラタリゼーションを利用した排水・廃棄物からのレアメタル回収技術の開発
Project/Area Number |
22310047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池 道彦 大阪大学, 工学研究科, 教授 (40222856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
惣田 訓 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (30322176)
清 和成 大阪大学, 工学研究科, 助教 (80324177)
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Keywords | セレニウム / バイオボラタリゼーション / レアメタル / 排水 |
Research Abstract |
Pseudomonas stutzeri NT-I株の増殖特性、セレン酸および亜セレン酸還元能を明らかにし、セレン酸、亜セレン酸還元に影響を与える因子を調べた。NT-I株は10-42℃、pH6-9、NaCl濃度0-50g/Lという広範な条件下で増殖が可能であり、好気条件下でセレン酸、亜セレン酸を速やかに還元し、元素態セレンを生成し、これまでに知られている細菌の中で、NT-I株は最もセレン酸、亜セレン酸還元能力が高いものの一つであることが明らかとなった。このセレン酸還元、亜セレン酸還元の速度はpH、温度の最適化によりさらに高まる可能性があり、セレン酸の還元には嫌気条件、亜セレン酸の還元には好気条件が適していることが示唆された。また、乳酸無機塩培地での還元試験から、低栄養環境中ではセレン酸還元に酸素濃度が特に重要な因子であり、亜セレン酸還元の促進にはアミノ酸の添加が有効であることが示唆された。無機塩培地のような低栄養培地中では、TSB培地中のような高いセレン酸、亜セレン酸還元速度は未だ実現できておらず、今後の実用化に向けての課題の一つとして検討を進めている。 NT半株によるセレン酸、亜セレン酸、および元素態セレンからのセレンの気化能を明らかにするとともに、その気化産物を同定した。NT-I株はセレン酸、亜セレン酸、および元素態セレンを気化させる高い能力を持っていることが示された。また、その気化産物は揮発性のメチル化セレンであるジメチルセレナイド(DMSe)、ジメチルセレニルサルファイド(DMSeS)、ジメチルジサルファイ(DMDSe)であり、特にDMDSeが主要な気化産物であることが示唆された。これらメチル化セレンは、セレン酸、亜セレン酸の還元によって生じた元素態セレンを経由して生成され、液相を経由して気相に移行することが示唆された。
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