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2013 Fiscal Year Annual Research Report

過栄養化した港湾でも自立・永続可能な繊維基質を用いた藻場創出技術に関する実証研究

Research Project

Project/Area Number 22310049
Research InstitutionThe University of Tokushima

Principal Investigator

上月 康則  徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (60225373)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 三好 真千  徳島文理大学, 理工学部, 助教 (40399168)
山中 亮一  徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (50361879)
Project Period (FY) 2010-04-01 – 2015-03-31
Keywords堆肥 / ワカメ / 循環 / TOC / TN / 菜の花 / BDF / 尼崎港
Research Abstract

1.目的
最近,大阪湾の一部では栄養塩不足が指摘されるようになったが,尼崎港のような湾奥では未だ赤潮,青潮が発生する状態にあり,環境改善の取り組みが必要とされている.著者らは,ワカメを用いて,海中の栄養塩を陸上に取り上げ,循環する取り組みで,参加者の多様性と継続性を高めること,確実に環境を改善させ,かつ工業専用地区である尼崎南部の地域課題の解決の一助とすることを考えた.本研究では,その活動の効果の定量化と課題抽出を行う
2.成果
a)方法:健全な環境では,食物連鎖の中で物質は循環利用されるが,ヘドロの堆積が進行する環境中では,堆積する栄養塩を人為的に循環させる必要がある.そこで,尼崎港でワカメを養殖,取り上げ,陸上で堆肥利用した.堆肥は菜の花や野菜の栽培に利用し,廃棄物処分場の緑化に資することとした.菜の花の種は搾油し,食用,使用後はバイオディーゼル燃料(BDF)にした.
b)評価方法と結果:本取り組みの狙いは,環境改善と地域課題解決の大きく二つに大別できる.環境改善では,(1)栄養塩の系外除去による水質浄化効果と,(2)夏場に脱落する付着生物の取り上げによる環境汚濁防止効果がある.前者は,2013年には,Nで0.86kg,Pで0.16kg分の生物を取り上げた,(3)回収生物量をTOC換算すると8.5kgで,これが全て脱落,分解されるとすると,飽和海水2.8m3中の酸素が消費されると試算された.地域課題の解決では,(4)廃棄物最終処分場の緑化,(5)低炭素社会の推進,(6)自然体験学習の機会提供と海への関心,意識の向上,(6)多様な主体の参加と継続といった点から評価できる.特に,(4)については,場内の草と混合させ,191kgの堆肥を作った.枯葉や青草など混和材料を変えたが,いずれの堆肥でも施肥量に応じて,菜の花の生長は良くなるなど,施肥効果は認められた.(5)については300mLのBDFを実際に得ることができた.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

富栄養化した生態系では,物理的,生物的にも物質循環は滞り,多くの物質は海底に堆積,ヘドロになる.そこで,人為的にも栄養塩を循環させることを試みた.
海の栄養塩から植物を栽培し,資源化させた事例は,本研究でしかない.特筆すべき点は,1年半全ての工程を産官学民との協働の仕組みで行ったこと,それを定量化した点である.また食用後の油はバイオディーゼル燃料(BDF)に使用したことである.また循環を「見える化」した点も成果がわかりやすく,かつ継続意欲を高めていたと思われる.
以上のことから,本研究は「おおむね順調に進展している」と評価できる.

Strategy for Future Research Activity

1.目的:大阪湾の湾奥の尼崎港は,変わらず近畿圏2000万人の汚水,廃棄物が運ばれてくる.物質循環の滞った状態を改善するために,尼崎港の生物と人の手によって過剰な栄養塩を循環させ,環境面と地域の課題を解決しようとする.本研究では,この取り組みの評価を試み,ここではその内,参加者の尼崎の海への関心による環境意識の変化,行動変化に着目し,報告する.
2.内容:(1)方法,尼崎港でワカメ種糸をロープに付け,設置する作業に参加した中学生を対象に,作業後にアンケート調査を行い,共分散構造分析を行う.(2)仮定,①各質問項目を観測変数とし,構成概念として「環境意識」と「行動の変化」を仮定し,尼崎の海への関心が高まることにより,環境意識が向上し,活動が継続されると仮定する.②尼崎に対する意識は,体験前はネガティブなものから,体験後にはポジティブな意見となる.③体験学習は限られているため,十分に事前学習を行えば,十分に認識を改めることができる.

  • Research Products

    (3 results)

All 2013

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] 尼海と私たちの生活とをつなぐ栄養塩の環づくり2013

    • Author(s)
      上月康則,中西敬,森本 登志也
    • Journal Title

      港湾

      Volume: 2013-10 Pages: 14-15

  • [Presentation] 尼崎南部地区の地域課題解決に向けた環境改善の技術開発と協働の取り組み2013

    • Author(s)
      上月康則
    • Organizer
      グリーンイノベーション研究成果企業化促進フォーラム
    • Place of Presentation
      マイドームおおさか(大阪府)
    • Year and Date
      20131213-20131213
  • [Presentation] 海産バイオマスの堆肥化に伴う環境便益の試算2013

    • Author(s)
      沓掛 安宏, 上月 康則, 山中 亮一, 阿野 悟之, 中岡 貞雄, 中西 敬, 森本 登志也
    • Organizer
      土木学会四国支部技術研究発表会
    • Place of Presentation
      愛媛大学(愛媛県)
    • Year and Date
      20130511-20130511

URL: 

Published: 2015-05-28  

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