2011 Fiscal Year Annual Research Report
有機-無機複合体を基盤とした分子・イオンの凝縮・変換システムの創製
Project/Area Number |
22310058
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内田 さやか 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (10361510)
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Keywords | ナノ材料 / 複合材料・物性 / 自己組織化 / 触媒・化学プロセス |
Research Abstract |
本研究は、金属の核数と距離が精密に規定されたポリオキソメタレートアニオン(=無機ユニット)と対カチオン(=有機ユニット)との複合化による機能性固体の構築を、サブナノ~ミクロンレベルで行うことを目的としている。無機物の持つ機能性(主に凝縮(吸着)・変換サイト)と有機物の持つ構造設計性(親水性/疎水性、構造柔軟/堅固、動的自由度の導入)の協奏による新奇な機能(吸着分離、吸蔵、触媒、イオン伝導、磁性、電子材料)の開発に重点をおいている。平成23年度は、オレフィンや二酸化炭素を高選択的に吸着する多孔性固体、形状選択的に酸反応や酸化反応が進行する複合体触媒、の開発を行った。特に前者では、ポリオキソメタレートアニオンとハロゲンを導入したマクロカチオンとの複合化により多孔性イオン結晶を得た。複合体は一次元細孔を有しており、細孔壁には電気陰性度の高い酸素やハロゲンが露出していた。複合体を室温真空排気処理すると、ほぼ構造を保持したまま結晶水が脱離し、ゲストフリー相が得られた。複合体の吸着特性を検討した結果、エチレン/エタン、プロピレン/プロパンの吸着量の比はそれぞれ6.1と3.6と高い値を示した。13C-MASNMR、DFT計算、モンテカルロ計算により、エチレンのπ電子と電気陰性度の高いマクロカチオンのハロゲンやポリオキソメタレートの酸素との間に強い静電的相互作用が働いていることが示唆され、無機ユニットと有機ユニットとの協奏により機能が発現したといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、金属の核数と距離が精密に規定されたポリオキソメタレートアニオン(=無機ユニット)と対カチオン(=有機ユニット)との複合化による機能性固体の構築を、サブナノ~ミクロンレベルで行うことを目的としている。平成22年度~23年度の成果として、(i)イオン交換により分子吸着能が変化する多孔性固体、(ii)形状選択的に酸化反応や酸反応が進行する複合体触媒、(iii)オレフィンや二酸化炭素を高選択的に吸着する多孔性固体、の開発を行った。いずれも、分子やイオンの「凝縮ユニット」と「変換ユニット」の集積化によるエネルギー操作システムであり、研究目的にかなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成24年度は、より高難度な吸着分離、触媒、イオン伝導機能の開発を行う。具体的には、(i)水素吸蔵材料,酸素/窒素分離材料,二酸化炭素/メタン分離材料の創製、(ii)微小空間内での不活性分子(二酸化炭素等)の活性化、(iii)高いイオン識別能を有するイオン交換体の創製、(iv)中温作動プロトン伝導体の創製、に焦点を絞る。
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Research Products
(11 results)