2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ中空シリカ・ポリマーハイブリッド薄膜の超断熱メカニズムの解明
Project/Area Number |
22310066
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤 正督 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (50238523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 孝 名古屋工業大学, 工学研究科, 准教授 (30571426)
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Keywords | ナノ材料創製 / 断熱 / ナノ空間 / ハイブリッド材料 |
Research Abstract |
近年,中空粒子の低密度,高比表面積,物質内包などの中実粒子と異なる種々の性質を活かし,中空粒子は軽量材,断熱材,複合材料,色材など幅広い分野で応用が気体されている材料である。中空粒子や発泡体および多孔体を用いた断熱材は既に広く用いられているが,ナノサイズの中空粒子を利用した断熱に関する研究報告はこれまで無かった。 申請者らは無機結晶を鋳型する合成技術(特開2005-263550等)を開発し,この方法で合成されたナノサイズの中空シリカ粒子の応用としてポリマーとのハイブリッド薄膜の材料開発を進めている。こうした応用材料開発の過程で,申請者らは,中空シリカ内部ナノサイズの空気をポリマー等の材料中に閉じ込めることによって,ミクロンサイズの発泡体や多孔体では得られない非常に高い断熱性能が得られるのではないか,という着想を得た。実際に,このナノ中空シリカ粒子を内包するポリマーフィルムの熱伝導率を測定したところ,バルクの空気に匹敵する低い熱伝導率(0.027W/mK)を有する,という実験結果を得た。(藤正督ら,第46回粉体に関する討論会,2008年)これは,空隙率がおおよそ50vol.%であることを考慮すると,"超断熱"と呼ぶべき高い断熱性能である。 この超断熱薄膜の材料設計のためには、超断熱メカニズムの解明が必要不可欠である。本研究ではハイブリッド薄膜を構成する三つのナノサイズ要素である(1)中空シリカ内部空孔にナノ空間に閉じ込められた気体分子、(2)ナノサイズ厚みのシリカシェルおよびマイクロ細孔、(3)ナノサイズの中空シリカ粒子間隙に存在するシェル表面に拘束されたポリマー分子について、各要素のバルクとは異なる特異的な物性に着目して、超断熱メカニズムを解明することを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、薄膜の超断熱性発現の原因探索を行っている。シェル厚や微細構造が異なる粒子の合成技術を確立した。各々の粒子を混合したハイブリッド薄膜を作製し、断熱性能評価を試みた。また、ナノ中空粒子の伝熱シミュレーションを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、薄膜超断熱性発現の原因探索に注力する。シェル厚、微細構造が異なる中空粒子をポリマー中に混合したハイブリッド薄膜の熱伝導率を評価し、粒子構造が薄膜断熱性能に与える影響について整理し、伝熱シミュレーション結果と比較する。
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