2010 Fiscal Year Annual Research Report
コヒーレントX線回折を用いたクライオバイオイメージング
Project/Area Number |
22310075
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西野 吉則 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (40392063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前島 一博 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 教授 (00392118)
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Keywords | コヒーレントX線 / 染色体 / X線回折顕微法 / ナノ構造解析 / 位相コントラストイメージング / オルガネラ / 高次構造 / 位相回復 |
Research Abstract |
コヒーレントX線を利用したX線回折顕微法(XDM)は、透過電子顕微鏡など従来の顕微法では難しかった、マイクロメートル以上の厚みをもつ生体試料の内部を、高コントラスト、高分解能で観察でき、世界的に注目されている。本研究では、XDMによるクライオバイオイメージングに向けた研究開発を行う。これにより、ヒト染色体、細胞核、精子などにおけるヒトゲノムDNAの折り畳み構造の理解に貢献することを目的とする。 本年度は、ヒト精子を研究材料に用いて、XDM測定をおこなった。精子は、細胞核からなる頭部、運動のためのATPを合成するミトコンドリアを含む中片部、べん毛の尾部から構成される。頭部の精子核にはヒトゲノムDNAが非常にコンパクトに収納されている。その構造を調べることは、生物学的にも医学的にも非常に有意義である。ヒト精子を単離し、SiN薄膜に固定し、大型放射光施設SPring-8 BL29XULでコヒーレントX線を照射した。測定は、まず、電子密度が最も高い頭部の精子核に対して行った。7つの試料に対して、いずれも精度の高いコヒーレントX線回折パターンを測定することに成功した。試料像再構成にも成功し、現在、得られた補情報をもとに構造解析をおこなっている。また、1つの試料に対しては、長く伸びる尾部のイメージング行うために、異なる5つの照射領域でのコヒーレントX線回折パターンを取得した。照射領域がオーバーラップしているため、試料像の再構成にタイコグラフィーが適用可能である。
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