2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子線エピタキシャル成長によるウエハスケールグラフェン形成
Project/Area Number |
22310077
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Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
前田 文彦 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 主幹研究員 (70393741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比野 浩樹 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 主幹研究員 (60393740)
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Keywords | グラフェン / 分子線エピタキシ法 / 成長過程 / エタノール / エッチング / ホモエピタキシャル成長 |
Research Abstract |
Beyond CMOSの有望なエレクトロニクス材料と目され、急激に研究が進展しているグラフェンにおいて、ウエハサイズの大面積グラフェンを形成する手法の確立を目指し、ガスソース分子線エピタキシ(MBE)法を提案し、その確立を目指している。本研究は、成長の最適条件探索に必要なホモエピタキシャル成長による成長過程の解明とヘテロエピタキシャル成長の試行による2段階で進めるため、平成22年度には、第一段階の成長過程の解明を進めた。 具体的には、アルコールを解離させて供給するMBE成長において、エタノールガス供給量依存性と成長温度依存性を調べ、(1)解離した結果エチレンと水に分解されること、ならびに(2)グラフェンの成長時にこの水がエッチング反応を引き起こし、成長時は成長とエッチングが競合反応として起こっていることを明らかにした。また、(3)成長温度の高温化によってグラフェンの高品質化が図れること、および(4)成長をエッチング反応が律速していて成長温度の高温化によって成長速度が減少すること、ならびに(5)その結果として成長速度が2~4時間に1原子層という非常に遅い成長速度となっていることが判明した。以上の知見から、本研究を計画した当初から予測していた成長温度高温化に加えて、エッチング反応を抑制することが、高品質グラフェンを成長する指針となることが分かった。これらの成果をまとめて国際会議で発表するとともに、2つの論文として公表した。 以上は、今年度実現を計画していた成長温度の高温化達成に基づいて成長温度依存性を調べることができたことにより明らかにしたもので、成長条件最適化に必要な指針を得るという計画で期待した成果が得られた。23年度には、さらにエチレンを用いた成長過程の解析を通じて成長条件最適化を進め、グラファイトと同様な結晶構造を持つ六方晶窒化ホウ素上へのヘテロ成長へと展開する。
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Research Products
(10 results)