2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22310082
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
高田 寛治 京都薬科大学, 薬物動態学分野, 教授 (30102106)
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / 感染症 / マイクロアレイ / 薬学 / 免疫学 |
Research Abstract |
新型ウイルスによるパンデミック時や医療従事者の少ない発展途上国では、ワクチンの迅速な大規模投与の実施に問題がある。このため、注射よりも簡便で有効なワクチンの投与法としての経皮ワクチン用マイクロニードル(MN)が注目されている。経皮ワクチンによる免疫応答の初期ターゲット細胞である真皮内Dendritic細胞及びLangerhans細胞は、皮膚に高密度で分布している。それゆえ、角質層バリアを突破し表皮内に薬物を送達させるMNは経皮ワクチン用デバイスとして有用と考えられる。そこで、表皮層及び真皮層への抗原の効率的送達を目的とし、抗原保持部位を異にする2層及び3層のマイクロニードル・アレイを有するチップを作製した。コンドロイチン硫酸ナトリウムを基剤とし、卵白アルブミン(OA)を抗原として、OA含有の2層及び3層MNを稠製した。皮膚内デリバリー性および循環免疫応答からMNチップの評価を行った。MNの形状計測から、2層及び3層MNの抗原保持部位は先端から各々0~約155μm及び約175~約225μmであった。Brown Norway系雄性ラットの腹部除毛皮膚にOA含有MNで経皮免疫を行った結果、両MN投与群で、同量の皮下注射群に比べ有意に高い血漿中Ig(G+A+M)抗体の産生誘導が認められた。3層MN投与群では、2層MN投与群に比べ2.5~7倍の高値を示した。MN投与2週間後、IgE抗体の産生および炎症は認めなかった。皮下注射群でのIgE抗体の変化率は有意に高値を示した。ラット皮膚内の抗原送達部位を蛍光標識OAで測定した結果、2層MN投与群で皮膚表面から約200μm付近、3層MNで表面から約100μm付近に強い蛍光を認め、両MNから真皮層及び表皮層への抗原のデリバリーが認められた。従って、3層MNが注射に代わる簡便で有効かつ安全性に優れた新規経皮ワクチン用DDSであることが示唆された。
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Research Products
(22 results)