2010 Fiscal Year Annual Research Report
エージェントベース社会システム分析のためのシミュレーションアーキテクチャ研究
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22310090
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
出口 弘 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (60192655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 学 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (60553873)
田沼 英樹 東京工業大学, エージェントベース社会システム科学研究センター, 特任講師 (50396892)
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Keywords | SOARS / 社会システム / シミュレーション / 社会デザイン |
Research Abstract |
当年度は、SOARSのモデル構築環境を一新し、領域専門家がモデル概念を明確化する過程でモデルライブラリを有効活用できるようにすべく、以下の研究を実施した。 (1)文理融合型のエージェントベースシミュレーション環境の整備 エージェントよりアクセス可能な機能オブジェクトによるモジュールコンポーネントのライブラリー化および、モジュール化の手法の確立を目指した研究開発を実施した。エージェントベースシミュレーションに於いては従来の受動的なオブジェクトとは異なるエージェントの自律性に対する配慮が必要となるが、従来のオブジェクト指向に基づくクラスライブラリのみでは充分であるとはいえない。当研究においては具体的に会計情報を扱う情報オブジェクトを実装し、実際にエージェントベースシミュレーションにおいて動的なモデル開発に適用可能であることを実証した。 (2)「役割指向プログラミング」の理論的解明とモジュール構築応用 社会シミュレーションの開発において、並行処理プロセス記述に関する継承異常の問題により、クラス継承によるルールの再利用が困難であるという弱点があるオブジェクト指向のみでは充分ではない。役割指向プログラミングの技法はこのような弱点の克服を目指し発展を遂げてきたが、現在ではSOARSにおけるモジュール型開発により有効性が実証される段階に達している。当研究ではさらにこれを進め、役割指向の本質を明確化すべく分析を行い、いくつかの規範の抽出を行うに至った。そのうち最も重要と思われるものはエージェントの自律性であり、これは主に2つの規範により支えられる。その1つはスポットを介したエージェントの間接的な相互作用であり、もう1つはステージという大域的な仮想イベントによるルールの一斉実行である。これらの規範によりエージェントの自律的なルール記述が可能となり、実装の負荷が大幅に軽減されると結論付けられた。
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