2011 Fiscal Year Annual Research Report
動的ネットワーク型包絡分析法の理論と応用に関する研究
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22310092
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
刀根 薫 政策研究大学院大学, 政策研究科, 名誉教授・アカデミックフェロー (00051235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 博文 福岡大学, 商学部, 教授 (80218958)
河口 洋行 成城大学, 経済学部, 教授 (40364666)
上田 徹 成蹊大学, 理工学部, 教授 (60276649)
浅井 澄子 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (00329476)
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Keywords | DEA / ネットワークDEA / ダイナミックDEA |
Research Abstract |
理論面では(1)動的ネットワークDEAにおいて、linkにfree, fix, as sinput, as outputの4種類を、carry-overにfree, fix, good,badの4種類を考慮した上で、全体効率、年度効率、部門効率を測定するDEAモデルを確立した。(2)動的ネットワークの拡張として過去、現在及び未来を考慮したDEAモデルを構築した。これまでDEAは過去、現在のデータに主として適用されてきたが、将来については研究がなされていなかった。この研究はこの分野への最初の試みである。(3)規模の収益性としては従来constantとvariableが用いられてきたが、generalized RTSを提案した。これは経済学の概念と適合性が高くDEA研究に新展開をもたらすものである。 実証面においては、ガス事業分野では分析を行うためのデータを収集し、大まかな傾向の把握を行った。医療福祉分野では、自治体病院のデータを用いて動的ネットワークDEAを用いた実証研究を実施した。これによって、(1)従来は考慮されていなかった病院の異質的な2つの組織である「経営管理部門」と「医療サービス部門」の効率性の水準やその変化が異なることが明確になった。(2)特に、「経営管理部門」では「医療サービス部門」に比して効率性の改善が遅れていることが認められた。(3)但し、当該2部門を結ぶLinkについては、複雑な関係をより精緻にモデル化する点が今後の課題として残った。その他の効率性分析では、日本の化学会社や都道府県と諸外国の効率性と規模の収益性について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論面はほぼ確立できている。実証研究が半分程度である。
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Strategy for Future Research Activity |
次の各テーマについて研究する。 1.Network DEAとDynamic DEAの研究:Dynamic SBM with network structureについて研究する。刀根はJohnson (USA), Sahoo (India), Yu (Taiwan)教授、Zhao( China), Avkiran (Australia), Chang (Taiwan)とともに実証研究を行う。 2.電力関連:刀根、筒井論文(2009)の展開を行う。電力業の垂直構造に着目してDynamic and Network SBMの試算を行う。 3.ガス事業関連:日本のガス事業の垂直的構造に着目し、この事業にネットワークDEAを応用し、技術効率性の計測を行った。ガス事業では設備構築に長期間を有することから、今年度は資本の調整過程を考慮した技術効率性の計測(ダイナミックDEA)にモデルを拡張し、計測を行う予定である。その上で、Dynamic DEAとDynamic DEA with network structureの計測結果の比較を行う。 4.銀行業関連:以下の2点を中心に研究を行う予定である。 (1)2段階ネットワーク型の方向付き距離関数を拡張し、動的マルムクイスト指標を計測して、金融業の生産性に関する実証分析を行う。 (2)動的DEAの概念を用いて作られたM&A指標を更に拡張する。そしてM&A指標の適用可能な研究分野の開拓を行う。DNSBMを適用する 5.医療福祉関連:病院の効率性を測定する上で、Network DEA modelがBlack box modelよりも優れた特徴を持つことが明らかになった。しかし、病院の複雑な組織をどのようにmodel化するかについては、まだ標準的手法はない。この研究では、刀根-筒井モデルの発展を取り入れつつ、医療における効率性測定の方法をDNSBMを用いて確立することを目的に検討を重ねる。
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Research Products
(26 results)