2012 Fiscal Year Annual Research Report
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22310094
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森田 浩 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (60210176)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | DEA / 効率性分析 / 並列モデル |
Research Abstract |
社会科学の分野では広く適用されている効率性分析の考え方を工学分野へ展開することを目的として,効率性分析手法である包絡分析法の拡張と開発を引き続き行った.当該年度に実施した研究は,主として並列構造にあるサブシステムの効率性の検証と相反する複数の評価視点がある場合の統一的で合理的な評価基準に関することを中心に行った.また、非効率性の概念から工程異常を発見するための統計的手法の提案も行った。 評価単位に複数の並列サブシステムを有するとき、全体システムの効率性および各サブシステムの効率性を評価するための手法を考察した。これまでにサブシステムの効率性を与えるいくつかのDEAモデルが提案されているが、サブシステム間の入力配分を変更したときに対応した評価とならないことを明らかにし、この問題点を改善した評価モデルを提案した。これによって、各サブシステムが最も効率よく活動するための資源の再配分方策を示すことが可能となる。また、部分効率性から全体効率性を評価するモデルと、全体効率性から部分効率性に分解するモデル方法についての比較考察も行った。 複数の評価視点を有する問題に対しては、評価基準が相反することが多く改善目標も明確にはならない。このような状況においてゲーム理論における交渉解の概念を用いた評価モデルを開発してきたが、単一指標に対する改善目標を与えるものであった。これをより一般的に複数の指標対する改善目標を与えることのできる評価モデルを構築した。 非効率性が存在するときにみられる分布の歪に着目し、工程データからそれを検知することで工程異常を早期に発見し、工程計画に反映するための方策を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに多段階構造や並列構造に対する評価や複数の視点からの評価に対する考察ならびに分析手法の開発を行ってきており、国内外の研究連携者とも継続して連携が取れている。
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Strategy for Future Research Activity |
効率性分析理論の拡張に関する考察は引き続き行う。特に、包絡分析法におけるダイナミックモデルやネットワークモデルおよび多段階モデルによる評価対象の詳細化、な らびに不確実性科学やゲーム理論を取り入れた評価手法のさらなる展開を行う。そこでは、最適化理論などのOR手法に加え、多変量解析法などの統計的手法、データマイニング手法などとの関連を踏まえ、多様な意思決定者のもとでの包括的な改善目標の提示を可能とする新たな包絡分析法の解析手法を示す。多段階構造や並列構造を持つ評価対象に対して、部分効率性と全体効率性に関する合理性についても検討し、部分構造の最適化を図る。非効率性を排除することでシステムの本質的な能力を高め、システム改善あるいは最適化のための方策を見出すモデルを示す。 また、事例研究企業の現場における品質管理、工程管理や予防保全などにおける問題に対して、学会における研究会活動を通して、適用と改善に対する理解を深めるための意見交換を行う。実際の操業データに提案手法を適用し、その有効性や実用性を検証する。 これらを達成させるために、連携研究者や企業の実務担当者との会合、海外の研究協力者との情報交換を引き続き行うとともに、国内外の研究発表会での研究発表や学術誌への論文発表も行う。
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Research Products
(4 results)