2010 Fiscal Year Annual Research Report
凝縮相上の燃え拡がりと消炎に及ぼす重力作用の解明と宇宙環境での最適消火法の提案
Project/Area Number |
22310098
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
伊藤 昭彦 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (30127972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥飼 宏之 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (50431432)
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Keywords | 低重力環境 / 火災安全性 / 拡散火炎 / プール火災 / パッフィング現象 / 不活性ガス / 不活性ガス / シャボン玉 |
Research Abstract |
人類の活動範囲は宇宙開発に伴い月面や火星まで広がると考えられる.そこで地球の重力加速度(1G)の1/3や1/6となる火星や月面の低重力環境での火災安全性を確立することを目的に,低重力場における凝縮相上の燃焼現象の特性と消炎現象について調査する.そのために弘前大学内に建設した低重力落下塔を用い,重力値を変化させた場合の燃焼特性について調べ,更に低重力環境に適した消火法の提案を行う. 本年度は低重力環境下での火災特性の調査として,アセトンそしてn-ヘプタンを,直径15~30mmの容器を用いて形成したプール火災で生じるパッフィング現象への重力変化(0.55G~1G)の影響について検討した.その結果,低重力環境におけるプール火災めパッフィングの振動数は,従来の研究で提案されているSt=0.571Fr^<-0.502>(St:ストロハル数,Fr:フルード数)で整理できることがわかった.しかし実験で得られたパッフィングが生じなくなる限界の重力条件は,従来の結果からは予測できない.そのためパッフィング現象が生じなくなる限界を決定する要因について引き続き検討する必要がある. 消火の検討では,水損や汚損を引き起こさない不活性ガス消火に注目した.ただし不活性ガス消火では消火ガスの周囲空気との混合による濃度低下が問題となるため,シャボン玉に不活性ガスを充填して,シャボン玉をカプセルとしてもちいる消火法について検討した.その結果,シャボン玉は表面張力を有したカプセルとしての役割を果たし,火炎と接触することで破膜し,内部に充填した不活性ガスをシャボン玉内圧によって火炎へと放出する.更に,破膜したシャボン玉液膜の収縮挙動によってシャボン玉に充填した不活性ガスの流れが駆動され,再度消火ガスが火炎へと供給され消火が達成されることがわかった.シャボン玉の破裂により引き起こされる上記2つの流れは,重力に大きく影響を受けないことが考えられ,低重力環境でも有効に働くと考えられる.
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Research Products
(3 results)