2011 Fiscal Year Annual Research Report
凝縮相上の燃え拡がりと消炎に及ぼす重力作用の解明と宇宙環境での最適消火法の提案
Project/Area Number |
22310098
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
伊藤 昭彦 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (30127972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥飼 宏之 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (50431432)
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Keywords | 低重力環境 / プール火災 / パッフィング現象 / 火炎高さ / 流れの可視化 / 火炎構造 / 速度測定 |
Research Abstract |
宇宙環境利用の推進に伴い,人類の活動範囲が地上とは異なる重力環境へ拡大している.それに伴い微小重力から過重力に至る様々な重力環境での火災安全性の確立が重要な課題となっている.しかし,微小重力と通常重力との間に存在する低重力環境における燃焼現象は明らかにされていない. 本年度は,低重力環境実験用の落下塔を用いて,火災燃焼の基礎的な燃焼形態の一つであるプール火炎を対象に,その火炎構造,特に流れ場に及ぼす重力の作用を明らかにすることを目的に実験を行った.流れの検討には,PTLS法(Particle Track Laser Sheet Technique)を用いて可視化した.この可視化結果から,火炎基部近傍の流れ場の速度を詳細に測定した.そして更に,速度測定結果から,火炎基部における火炎面に対する流れの流入角度φを計測し,絶対速度Vを火炎面に対して垂直方向速度成分V_nと接線方向速度成分V_tに分解した. 結果としては,V_nはG=1に比べてG=0.5で大きく低下した.他方,V_tは液面のごく近傍(z=2mm以下)では両者に有意な差は見られないが,液面から離れるにしたがってG=0.5の方がG=1より減少することがわかった.火炎基部における反応面への酸素輸送には,垂直方向速度成分V_nが大きくかかわっていると考えられる.つまり,V_nの低下は火炎面への空気流入が減少し,その結果,燃焼反応が抑制され,火炎温度の低下につながる可能性がある.本年度では,酸化剤側の空気の流れに注目して検討したが,プール燃料上に形成された燃料の流れについても検討する必要があることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで,低重力環境実験用の落下塔を用いて,低重力環境での火炎高さの変化など定性的なデータ取得を主としていたが,本年度は火炎面に流入する速度の詳細を明らかにし,定量的な検討も可能なことを示した.このように,落下塔を利用した実験技術の向上と伴に,研究内容にも着実な進展が見られる.そのため,現在の研究状況を(2)の区分と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究展開としては,プール火炎については,燃料蒸気側の流れについて可視化し,その速度場について検討を行う.また,これまで行っていない低重力場での消炎現象についても検討を行ってゆく.
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Research Products
(3 results)