2011 Fiscal Year Annual Research Report
首都圏に特有の微地形境界斜面に着目したミクロレベル地震防災
Project/Area Number |
22310107
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中井 正一 千葉大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90292664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 幸代 千葉大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10372575)
関口 徹 千葉大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50451753)
三輪 滋 飛島建設株式会社技術研究所, 技術研究所, 所長 (60443636)
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Keywords | 地震 / 防災 / 構造工学・地震工学 / 地盤工学 / 認知科学 / マルチエージェントシステム |
Research Abstract |
本研究は、首都圏に特有の微地形構造に関わる地震防災上の諸問題を対象としている。 平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震により、本研究の対象地である首都圏東部地域において液状化被害が広範に発生したため、微地形境界に加えて地中の不整形性(埋立地の埋没谷構造)を新たに研究対象とすることとした(平成23年度の当初計画に盛り込み済み)。 まず、地震直後に千葉市美浜区全域を対象に行った液状化被害調査結果をにに、地理情報システム上に被害分布マップを作成した。その結果、美浜区は全域が埋立地であるにもかかわらず、被害分布には著しい偏りのあることが分かった。これは、地盤構造にその主たる原因があるとの推測に基づき、新たなボーリングデータの収集、常時微動計測、地震観測等を集中的に実施し、同地区を約7500のメッシュに分割し、それぞれの地盤構造モデルを作成するとともに地震応答解析を行い、液状化被害予測を行った。得られた結果は、被害調査結果とおおむね調和するものとなった。 一方、環境(地盤)と人の両ダイナミクスを考慮するにあたり、地盤側のダイナミクスとして、サポートベクタマシンを用いて局所的なボーリングデータから地域全体の地盤の性質を推定する方法を提案し、精度の高いハザードマップの作成を可能とした。人のダイナミクスに関しては、避難における混乱の原因を曖昧な情報に基づいた意思決定の失敗に依るものとし、情報の不足と過剰な状況での意思決定支援に繋がるネットワーク構造を提案した。 最後に、急斜面の地震などによる崩壊対策に、その地域で得られる地産の材料として木杭を用いることを考え、その効果を確認するため2010年度に実施した小型の振動実験を対象に、数値解析により、その効果を検討した。数値解析によっても、無対策に比べ、法尻や斜面中腹に木杭を設置することにより崩壊を抑制する効果を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地盤構造モデル・地盤増幅特性・ハザードマップ・被害予測および対策に関しては、研究計画提案時とは若干異なるものの(東北地方太平洋沖地震被害を説明するため)、平成23年度の当初計画通り実施することができた。また、行動シミュレーションにおける地盤モデル、意思決定モデルのプログラムも予定通り完成することができた。被害低減のための方策についても予定通りの進捗と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、研究計画提案時の課題である微地形境界の斜面に再度着目し、地震観測・数値解析を進めるとともに、地中の不整形性についてもさらに検討を加え、ハザードマップを充実させる。また、行動シミュレーションはコード化も完了し、実際にシミュレーション実験を重ね、結果の解析とモデル洗練化のプロセスを予定通り進める。斜面崩壊の対策である杭構法については、施工に当たっての課題を整理する。
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