2011 Fiscal Year Annual Research Report
地震波干渉法による堆積平野の3次元S波速度構造モデルのバリデーション
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22310108
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山中 浩明 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (00212291)
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Keywords | 地震波干渉法 / 表面波 / 長周期地震動 / S波速度 / 微動 / 関東平野 / 相互相関関数 / グリーン関数 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、駿河湾~相模湾地域の堆積平野部において,微動観測を実施し,地震波干渉法に基づく検討のためのデータの蓄積を行い、2つの観測点間のグリーン関数を抽出し,その表面波成分の分散性状から地下構造の影響を評価した。さらに、既存の3次元モデルでのグリーン関数のシミュレーションも行った。具体的な成果は以下のとおりである。 (1)D微動の長期連続観測の実施 相模湾および駿河湾沿岸地域における24地点において微動長期連続観測を継続し,データを蓄積した。 (2)地震波干渉法による表面波の抽出 関東平野で得られた微動データに地震波干渉法に基づく処理を行いの各2地点の間のグリーン関数を求めた。さらに、南関東地域を10km四方のセルに分割し、表面波の走時のトモグラフィ解析を実施し、南関東の群速度のマッピングを行った。 (3)既往の地下構造モデルとの比較 上記(2)で求めた南関東の各セルの表面波の周期2~6秒の群速度の逆解析を行い、深部地盤の1次元モデルを推定した。平野の端部では、セルの大きさが大きすぎ、1次元構造の仮定の不適切さがあり、既往のモデルとの差異が大きかった。 (4)グリーン関数のシミュレーション 関東平野での既存の3次元地下構造モデルを用いて2地点間のグリーン関数のシミュレーションを行った。多くの観測点ペアでは、表面波の顕著な振幅の位相は再現できた。しかし、一部の観測点ペアではシミュレーションで説明できない部分もあり、モデルが適切ではない可能性を指摘した。 (5)関東平野北東部での臨時微動観測 関東平野北東部で微動観測を行い、本研究で開発した手法を適用し、地下構造を推定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究項目については、ほぼ計画どおりに実施できた。さらに、東北地方太平洋沖地震の余震および微動観測を関東平野北東部で実施し、本研究で開発した手法を適用して、深部地盤のモデルを推定できた。この結果は、この地震での同地域における長周期地震動の評価のためには有益な情報になると期待され、本研究での地盤モデルの推定方法の有用性を示す実例となると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、地震波干渉法に基づく深部地盤のモデル化手法の検討を中心にして行っている。その結果、本手法によって今までにない地盤のモデル化のための有益な情報が得られる可能性が高いことが示されつつある。現時点では、本研究では長周期地震動の評価に関わる地盤のモデル化のみを対象としているが、今後は地震波干渉法をより広範囲に地震工学的目的に使うことを検討する必要がある。この検討項目の追加には、研究遂行上の大きな支障はないと考えられる。
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Research Products
(16 results)