2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22310112
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
佐々 浩司 高知大学, 教育研究部・自然科学系, 教授 (50263968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 泰一 京都大学, 防災研究所, 准教授 (10111981)
村田 文絵 高知大学, 教育研究部・自然科学系, 助教 (60399326)
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Keywords | 自然災害 / 気象学 / 自然現象観測・予測 / 減災 / 竜巻 |
Research Abstract |
以下の4つのサブテーマを実施した。 1.レーダー観測:国内で珍しい多重竜巻が発生した福岡の事例について、気象台と空港のレーダーデータを解析し、詳細な特性を明らかにした。 2.室内実験:メソサイクロン模擬装置とガストジェネレーターにより、多重竜巻の再現実験を行い、可視化とPIV計測により詳細な構造を明らかにした。また、制御可能なガストジェネレーターを製作し、性能を評価した。また、竜巻の渦度がどのようにして得られるかをPIV解析結果より調べた。 3.モデル解析:NHMによるGPVデータに基づいて台風に伴う竜巻発生のパラメータを評価した。 4.環境場解析と被害調査:2011年10月21日の土佐清水突風災害について現地調査をおこなった。 これらの成果として、1によりレーダーデータによる多重竜巻の詳細な構造と、地表の被害との対応関係について定量的に明らかにした。2により吸い込み渦が2~4個同時に発生する多重竜巻の構造をとらえ、吸い込み渦の通過によって風速が1.6倍に上昇することや、すり鉢状の形状などを明らかにした。また、竜巻の渦度は地表付近の水平渦度からの立ち上げによって供給されるのではないことを示した。3においては台風のアウターレインバンドで発生しやすい竜巻の発生条件を示す指標として、地表付近の鉛直渦度とCAPEとの積が有効であることを示した。また、4により高知県の事例を蓄積した。これらの成果は8件の学会発表と、1報の論文によって報告した。これらの内,土佐湾における竜巻の多発状況を示した発表については、世界的に注目をうけるものであった。また、多重竜巻の詳細な構造をレーダー解析と室内実験により定量的に解析し、これまでに明らかにされていなかった様々な特性が初めて確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サブデーマ1、2については特に多重竜巻の構造をレーダー解析と室内実験の両方で定量に示したことにより当所の計画以上に大きな進展があった。しかし、2011年における高知県の発生事例は少なく、データの蓄積は十分ではなかった。これらの結果環境場解析についてはやや遅れている点もあり、各テーマを総合するとおおむね順調ということになる。
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Strategy for Future Research Activity |
レーダー解析については昨年度のものも含め、高知県の事例解析を詳細に進め、土佐湾における渦の特性をより明確に進める。実験については竜巻の構造について今後もより詳細なPIV解析を進めて行くが、新たなメソサイクロン模擬装置の開発により下降流の効果も評価することを検討している。モデル解析はWRFの稼働が軌道に乗ってきたため、事例解析を増やして行く。これらの事例解析と、過去のGPVデータによる環境場の評価などを通じて、台風に伴う竜巻発生環境を明確にするとともに、土佐湾においてなぜ竜巻が多発するか気候学的な要因を明らかにしていく。現状で当初計画と大きな変更があったのは、レンタルしてきたレーダーが老朽化のため使用できなくなったことである。このため、最終年度においては気象庁室戸レーダーの解析を中心に進めて行く予定である。
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Research Products
(9 results)