2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22310119
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
胡桃坂 仁志 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80300870)
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Keywords | ゲノム多様性 / ゲノム進化・再編 / 遺伝情報複製・再編 / ゲノム機能 / 活性発現の分子機構 / 染色体構築・機能・分配 / 生体高分子構造・機能 / 構造活性相関 |
Research Abstract |
本研究では相同組換えの分子機構の理解を目的として、その過程で働く未知の因子を同定し、それらの機能を分子レベルで解明することを目的としている。相同組換えの破綻は染色体異常の直接原因となり、発がんや不妊症発症の原因となる。本年度では、我々の先行研究により同定しているヒトEVL,GEMIN2およびPSFに着目した。ヒトEVL、GEMIN2およびPSFをリコンビナントタンバク質として精製し、それらの相同組換えにおける役割を生化学的解析によって検討した。まずEVLのパラログであるMENAおよびVASPの精製系を確立し、それら3種のタンパク質の相同組換え活性の比較を行った。そして、それら3種類のタンパク質のいずれも同様にRAD51依存的および非依存的な相同組換え反応を活性化できることが明らかになった。GEMIN2については、SMNとの複合体として精製する系を確率し、SMN-GEMIN2複合体の生化学的解析を行った。その結果、SMN-GEMIN2複合体は、GEMIN2単独と比較して飛躍的にRAD51依存的な相同組換え反応を活性化することが明らかになった。また、GEMIN2はDNAに結合する活性を持たないが、SMNはそれ自身でDNAと結合するサブユニットであることなども分かった。そしてPSFについては、精巣でのPSFの高発現を見いだし、減数分裂期特異的な相同組換え酵素であるDMC1の相同組換え活性は顕著に増大する活性を有することを発見した。これらの結果は我々が独自に発見した新規相同組換えタンパク質EVL、GEMIN2およびPSFおよびそれらの関連因子が相同組換え反応に重要であることを示しており、相同組換え分子機構の理解ための重要な新知見を与えたと考えられる。加えて、本年度では、新規RAD51阻害剤として、ハレナキノンを海綿抽出液より同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究代表者らが独自に同定した、新規相同組換え関連タンパク質候補である、EVLおよびそのパラログ、SMN-GEMIN2複合体、およびPSFの生化学的解析によって、これらの相同組換えにおける機能を提案することができた。これは当初の目標に準じた成果であった。これらの成果に加えて、相同組換えを調節する低分子化合物の同定に成功したことにより、本年度の研究は計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者らが既に同定している新規相同組換え関連タンパク質候補群の機能、構造解析を引き続き行い、これまで未知であった相同組換えのステップの分子機構の解明を目指す。
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Research Products
(30 results)