2011 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子とシス調節DNAの核内動態に基づく細胞特異的転写調節ロジックの解明
Project/Area Number |
22310120
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
日下部 岳広 甲南大学, 理工学部, 教授 (40280862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 謙太 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60217643)
鈴木 穣 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (40323646)
將口 栄一 独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構, 研究員 (90378563)
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Keywords | 遺伝子 / 転写調節 / ゲノム / ホヤ / 発生・分化 |
Research Abstract |
ホヤの諸器官および各発生段階について、次世代型超並列シークエンサーで得られた5'端EST配列のゲノム上へのマッピングを行った。このデータに基づいて、(1)ホヤゲノムにおける転写開始点の配列の特徴の解析、(2)ホヤゲノムにおけるCpGアイランドプロモーターの検証、(3)転写開始パターンとプロモーター構造および機能の網羅的解析を行った。ホヤゲノムにおいて、トランススプライシングされる遺伝子の転写開始点が分からないことが問題であったが、決定したTSSの中には、トランススプライシングされる遺伝子の転写開始点が含まれていることを明らかにした。 神経系特異的遺伝子について、遺伝子近傍のゲノム領域の塩基配列を比較し、同じ発現調節を受けると予測される遺伝子間で共有される配列を検索するとともに、既知の転写因子の結合コンセンサス配列を検索した。近縁種との比較ゲノム解析により、シス調節領域を推定した。遺伝子の近傍領域を蛍光レポーターに連結したDNAコンストラクトを構築し、胚に導入して発現を調べることで、転写調節領域の機能解析を行い、シス調節配列を推測し、実験により確かめた。また、脊椎動物モデルとしてメダカを用いた同解析を進め、シス領域と複数の遺伝子活性およびクロマチン構造の機能的関係を示唆する結果を得た。 転写制御への関与の可能性が考えられる転写因子について、アンチセンス・モルフォリノオリゴを用いたノックダウンと特異的プロモーターを利用した強制発現実験を行った。特にGABAグリシン作動性神経細胞の転写制御に関わる転写因子について、in vivoの機能を明らかにした。転写因子、共発現遺伝子群、シス制御DNAの核内動態の解析に必要なツールと試料調製法の開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多くの解析が、まだ中途であるが、着実に進行している。転写開始点のマッピングが完了し、このデータに基づいたプロモーターの構造と遺伝子発現パターンの相関が明らかにしたことは重要な成果である。また、タグ付きの転写因子によるin vivo動態の可視化と強制発現による表現型解析も結果が出ている。また、メダカを用いた解析が進展したことにより、脊椎動物ゲノムへの応用にも道が開けた。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度は、現在進行中の解析の多くを完了させ、ChIP-Seq、Chromatin conformation capture(3C)法および3D-FISH法のデータと合わせて、核内転写調節ロジックの解明を目指す。転写因子に蛍光タンパク質をタグとして連結した融合タンパク質をコードするDNAを構築し、特異的プロモーターでホヤ胚および幼生の体内で発現させ、タグ付き転写因子がホヤ胚内で機能することを確かめた。これらを用いてChIP-Seq解析が進行中である。
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