2011 Fiscal Year Annual Research Report
鉄代謝異常を伴う先天性運動失調マウスの病理学的及び分子生物学的解析
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22310122
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
橋本 尚詞 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (80189498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下部 守昭 東京大学, 農学生命科学研究科, 特任教授 (60153277)
立花 利公 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80163476)
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Keywords | 先天性運動失調マウス / 連鎖解析 / SNPs / 三叉神経 / NF200 / Parvalbumin / Calbindin |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続きICR系の先天性運動失調マウスとC57BL/6系及びC3H/HeJ系の交雑系を作製し連鎖解析用の試料を得た。その中からC57BL/6との交雑系の異常発症(homo)を34個体、hetero確定を16個体、見かけ正常を18個体、C3H/HeNとの交雑系からそれぞれ15個体、6個体、7個体の総計96個体について、1500カ所余りのSNPsのパターン解析を行った。その結果、第2染色体においてC57BL/6との交雑系では異常発症と100%連鎖しているSNPが見出された。SNPのパターンをA,Bとした場合、homo個体ではBB、hetero確定個体ではAB、見かけ正常個体ではAAあるいはABであった。しかし、C3H/HeJとの交雑系では全個体がBBであり、連鎖の判定は不能であった。このSNPが異常発症と連鎖していることはManhattanプロットによっても確認された。このSNPの前後にはどちらの交雑系においても全個体がAAのパターンを示すSNPsがあり、これらを考慮すると、この付近の10万bpsの領域内に異常遺伝子が存在することが明らかになった。この領域には機能が既知、未知のgeneとpseudogeneが合計188codingされているのが分かっている。 次に、小脳および脊髄神経の空胞変性を生じている神経細胞を特定するために、DiIおよびBiocytinによる標識を試みたが、これらのトレーサーに対して変性した神経細胞は全く標識されなかった。脳神経系に異常が無いかを調べたところ、三叉神経および側頭骨内の顔面神経に脊髄神経と同様の強い変性像が認められたが、視神経や聴神経などには全く異常を認めなかった。三叉神経の変性している神経細胞はNF200などのNFs抗体に陽性であり、さらにParvalbuminとCalbindinにも陽性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本後肢運動失調マウスについてSNPsと運動失調発症との連鎖解析を行った結果、強く連鎖しているSNPが見出され、異常を生じている遺伝子領域が推定された。
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Strategy for Future Research Activity |
異常を生じている遺伝子領域が推定されたので、塩基配列を読んで異常部位を特定する方向に進む予定であるが、候補領域が約10万bpsであるため、異常領域の絞り込みを試みる。また、脊髄神経だけではなく脳神経にも異常が見出され、とりわけ三叉神経には強い変性像が認められるにもかかわらず表現形上の異常が不明であるので、三叉神経の異常による症候を解明する。
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