2011 Fiscal Year Annual Research Report
化合物固定化を基軸としたケミカルゲノミクスプラットフォームの革新と高度化研究
Project/Area Number |
22310132
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
叶 直樹 東北大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (40317293)
|
Keywords | 化学生物学 / 化学遺伝学 / 化合物固定化 / マイクロアレイ / アフィニティー樹脂 |
Research Abstract |
本年度までに、NADH固定化ガラス基板を利用したチトクロムP450の基質特異性検出マイクロアレイシステムを構築した。本システムは、NADH固定化基板上に形成させた微小液滴中で小分子とP450を反応させ、基質酸化反応に伴って生成したNAD^+をNAD^+特異的検出プローブで検出するハイスループットスクリーニングシステムである。小分子ライブラリーの微小液滴アレイを用いれば、ライブラリー中の小分子がP450の基質か否かの迅速かつ網羅的な判断が可能となる。NAD^+の検出には、ビオチン化アセトフェノンと蛍光ラベル化ストレプトアビジンを用いた二段階検出法を用いており、今年度の前半はその検出条件の最適化を行った。しかしながら、上記の試薬を用いた二段階検出法ではシグナルーノイズ比(S/N比)の大幅な改善が達成できなかったため、今年度の後半は二段階検出法ではなく、NAD^+と反応して蛍光を発する発蛍光性の新規検出プローブの創製に取り組んだ。具体的にはプローブとして各種置換型アセトフェノン、アセチルフラン、アセチルチオフェン、アセチルベンゾフランを基質モデルのN-メチルニコチンアミドと反応させ、生成物の蛍光特性を調べた。その結果、NAD^+と反応して1,7-ナフチリジン-1(7H)-オン型蛍光色素を発生する新規2-アセチルベンゾフラン型プローブの創製に成功した。本プローブとN-メチルニコチンアミドから発生する1,7-ナフチリジン-1(7H)-オン型蛍光色素は、励起極大波長450nm,蛍光極大波長555nmと約100nmのストークスシフトを持ち、かつ量子収率が0.4程度と良好な蛍光特性を有するため、NADH基板上でのNAD^+の検出に有効だと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NADH固定化ガラス基板を利用したチトクロムP450の基質特異性検出マイクロアレイシステムに関しては検出系のS/N比の大幅な改善が見られていないが、ポジティブコントロールとの差は明確に見えるようになっている。まだP450camという分子種でしか検討していないため、今後、他の分子種を用いた検討を行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
NADH固定化ガラス基板を利用したチトクロムP450の基質特異性検出マイクロアレイシステムに関しては前述した通り、新規発蛍光性プローブを用いた検出系を検討し、他の分子種を用いた場合の一般性を確認する。
|