2012 Fiscal Year Annual Research Report
化合物固定化を基軸としたケミカルゲノミクスプラットフォームの革新と高度化研究
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22310132
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
叶 直樹 東北大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40317293)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 化学生物学 |
Research Abstract |
昨年度は一昨年度から引き続き、小分子酸化酵素 cytochrome P450の基質スクリーニングおよび基質特異性検出法の開発を行い、P450が基質を酸化する際にNAD(P)Hから生成するNAD(P)+を検出すべく、NAD(P)+と選択的に反応して1,7-ナフチリジン-1(7H)-オン型蛍光色素を生成するメチルケトン型プローブの開発に取り組んだ。数十種類のメチルケトン類をスクリーニングした結果、ある種のメチルケトン(化合物A)とNAD+から生成する化合物が良好な蛍光特性(励起・蛍光極大波長、および蛍光量子収率)を示すことを見いだした。そこで、各種P450の基質を含む20種類の小分子を、P450と還元酵素系、およびNAD(P)Hを含む96ウェルプレート内でそれぞれ反応させ、生成する NAD(P)+ を化合物Aで検出した結果、基質が含まれていたウェルでのみ強い蛍光が観察された。この結果から、化合物Aを用いてP450の基質と非基質を明確に見分けるアッセイ系の基礎が確立できた(算出されたZ'値 = 0.9:Z'値とは、ハイスループットスクリーニングアッセイ系の質を評価する指標であり、この値は1に近い程アッセイの質が高く、0.5 以上でハイスループットスクリーニングが可能であるとされている)。更に、NADH 由来の吸光度・蛍光を検出する手法やアセトフェノンを利用するNAD(P)+定量法などの既存の手法と比較した結果、今回開発した手法は特に高い感度とZ'値を持つことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した方向性から若干外れてはいるが cytocyhrome P450 の基質を検出する方法としては大変期待ができる手法が構築できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ようやく Proof-of-concept の状況から前進したため、手法のハイスループット化の検討の後に、この手法を用いた新規知見(いままで基質が分かっていなかった分子種の基質の発見や、既知の分子種であっても意外な基質の発見など)の創出を最重要課題として取り組む。
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