2011 Fiscal Year Annual Research Report
気体分子・呼吸酵素複合体の結晶構造が明らかにする嫌気から好気呼吸への進化
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22310137
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
永野 真吾 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (60286440)
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Keywords | 呼吸酵素 / 結晶構造 / 分子進化 |
Research Abstract |
脱窒菌などは、酸素を使わず無機塩を利用する嫌気呼吸をおこなうことができる。脱窒を担う酵素群のなかで一酸化窒素を亜酸化窒素(N_2O)に還元する膜タンパク質が一酸化窒素還元酵素(NOR)である。NORは好気呼吸の未端酸化酵素であるシトクロムcオキシダーゼ(CcO)とアミノ酸配列の相同性が見られることなどから、NORはCcOの祖先分子であるとみなされており、呼吸酵素の分子進化の観点からも興味深い。本研究ではNORやCcOの機能発現の鍵となる気体分子複合体の結晶構造解析から、呼吸機能の進化の仕組みを解明することを目的としている。平成23年度は、中度好熱菌 Geobacillus stearothermophilus由来の一酸化窒素還元酵素の結晶構造を報告した(Nature Struct. Mol. Biol. in press)。この酵素は酵素反応に必要な電子をキノールから受容する酵素であり、キノールアナログが結合した結晶構造も決定した。この構造から一酸化窒素還元酵素のキノール結合部位を初めて明らかとした。また、活性部位に存在するGlu512をAlaに置換したE512A変異体は活性をほとんど失っていることから、この変異体に気体分子を結合させた中間体は野生型に比べ安定に存在することが期待できる。そこでこの変異体の発現と精製方法を検討し、結晶構造解析に用いることができる純度の精製酵素を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた一酸化窒素還元酵素と気体分子複合体の単結晶の調製は、容易ではないが中度好熱菌由来と緑膿菌由来の一酸化窒素還元酵素の酸化型構造をいずれも決定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
いまだ困難な一酸化窒素還元酵素と気体分子との複合体の調製については、その安定化が期待できるいくつかの変異体(K597A,E512A)の結晶を調製し、これを用いて中間体の結晶構造の決定を目指す。
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