2010 Fiscal Year Annual Research Report
がん抑制遺伝子産物の作用を増強させる天然低分子化合物の探索と作用機構の解明
Project/Area Number |
22310138
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
塚本 佐知子 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (40192190)
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Keywords | ユビキチン / プロテアソーム / がん抑制遺伝子産物 / 抗がん剤 / 天然低分子化合物 / p53 / 海洋無脊椎動物 / 海洋由来微生物 |
Research Abstract |
ユビキチン-プロテアソームシステムを阻害する物質が、新しい機序で作用する抗がん剤として期待されている。そして、私たちは、新規抗がん剤の開発を目指して、この系に対する阻害物質を天然資源から探索している。特に本研究課題においては、がん抑制遺伝子産物p53の作用を増強させる天然低分子化合物を探索し作用機構を解明することを目的としている。既に、(1)プロテアソームに対する阻害物質としてagosterol誘導体及びsecomycalolide Aなど、(2)ユビキチン活性化酵素(E1)に対する阻害物質としてhimeic acid A、(3)がん抑制タンパク質p53とそのユビキチンリガーゼ(E3)であるHdm2との相互作用を阻害する物質として(-)-hexylitaconic acid、(4)p53がポリユビキチン化された後にプロテアソームへと運搬されるステップに対する阻害物質としてgirolline、及び(5)ユビキチン結合酵素(E2)の一つであるUbcl3-UevlA複合体の形成を阻害する物質としてleucettamol Aを、海綿や海洋由来真菌から単離している。平成22年度の成果は、以下の通りで、いずれも日本薬学会第131回年会にて発表した。(1)インドネシアで採集した海綿Stylissa massaから、p53-Hdm2複合体形成阻害を示すmanzacidins A-C,N-methylmanzacidin Cを単離した(IC_50 10μg/mL)。(2)能登半島で採集した真菌Aspergillus sp.から、E1阻害物質であるhimeic acid Aの新規類縁化合物としてhimeic acid Dを単離した。(3)インドネシアで採集した海綿Lissodendoryx fibrosaから、Ubc13-Uev1A複合体の形成を阻害する新規ステロールダイマーを単離し構造決定した。(4)インドネシアで採集した群体ボヤDidemnum sp.から、抗菌活性を示す新規セリノリピッドを単離し構造決定した。
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Research Products
(18 results)