2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22310141
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
古田 寿昭 東邦大学, 理学部, 教授 (90231571)
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Keywords | ケージド化合物 / 光分解性保護基 / ビオチン / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
ケージド化合物を用いる光制御を,厚みのある組織切片や哺乳動物個体に適用するためには,可視から近赤外光を用いることが望ましい。赤色から近赤外領域に吸収極大を持つ新しい光分解性保護基の開発を目指して研究を行った。1光子励起条件下で,500nmより長波長光によって高い効率で活性化できて,様々な官能基を保護できる光分解性保護基は報告されていない。そこで,キサンテン系色素を基本骨格に持つ新規光分解性保護基(X)を合成した。X基は516nmに吸収極大を持つこと,その塩化物(X-C1)は516nm光の照射で分解することを確認した。このときの光反応効率(量子収率とモル吸光係数の積)は5,000/(M cm)以上であった。さらに,X-C1とBhcmoc-Glu(吸収極大波長は370nm)の混合物に516nm光を照射するとX-Clを,370nm光を照射するとBhcmoc-Gluをそれぞれ選択的に活性化できることも明らかにした。 ケージング試薬であるBhc-diazoによりケージドdsDNAの合成が可能である。しかし,プラスミドDNAのケージングに適用すると,ケージング反応がランダムに起こるため,ケージングされたプラスミドと未修飾プラスミドの混合物が生成する問題点があった。そこで,ビオチンタグを持つ新規ケージング試薬Bio-Bhc-diazoを合成し,ストレプトアビジンで修飾した磁気ビーズを利用したアフィニティー精製によって,未修飾DNAとの混合物からケージドDNAを分離精製できることを明らかにした。分離精製したケージドdsDNAをHeLa細胞にトランスフェクトしたところ,ケージングしていないdsDNAと比較して,目的遺伝子の発現が20%に低下し,UV照射によって80%まで発現が回復することを確認した。
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